家族の世話に追われる子どもたちの実態が明らかになった。

 国が初めて実施した「ヤングケアラー」に関する全国調査によると、中学生の17人に1人に上り、高校生も含めて1日7時間以上を費やす生徒が約1割もいた。

 学習や健康に影響するだけに、子どもたちの置かれた困難な状況を社会全体で認識し、大人たちが支援の手を広げることが必要だ。

 ヤングケアラーは、家事や家族の介護、世話を日常的にしている18歳未満の子どもを指す。

 実態調査は厚生労働省と文部科学省が連携してウェブで行い、中学2年生と全日制高校2年生の計1万3千人弱から回答があった。

 中2の5・7%、高2の4・1%が、世話をしている家族が「いる」とした。対象は、中2では「きょうだい」が約6割を占め、身体に障害がある父母や認知症の祖父母をケアしている子どもたちの姿も浮かんだ。

 見過ごせないのは、「勉強する時間が取れない」「睡眠が十分に取れない」との回答だ。高2の約5%が「進路の変更を考えざるを得ない・変更した」としている。

 ヤングケアラーの過酷な状況が示された。ただ、約6割が誰にも相談した経験がないという。

 成長途上にある中高生たちが直面している問題はこれまであまり認知されていなかった。今回の調査は回収率が低く、実際はもっとヤングケアラーがいる可能性がある。大学生や20代にも広げれば、対象者はさらに増えよう。

 少子高齢化が加速し、共働き世帯が増える中、若者が負担のしわ寄せを受けているのではないか。

 周囲の目配りが必要だ。SOSを発しやすく、相談できる体制を整備したい。

 学校は生徒たちの家庭環境を把握し、困っている生徒の声に耳を傾けることが求められる。家族のケア方法については、福祉の専門機関との連携も不可欠だ。

 埼玉県は昨年、独自にケアラー支援条例を施行した。子ども向けのハンドブック作製やオンラインの相談サロンを始め、経験者らによる出張授業に乗り出すという。

 国は実態調査を踏まえ、支援策を5月にまとめる。「こども庁」の創設が検討されているが、ヤングケアラーを取り巻く課題もしっかりと位置づけてほしい。

 家族の世話を身内だけで担うのは無理が生じる。子どもたちが孤立したり、夢をあきらめたりするようなことがないよう、社会全体で支えたい。