最大震度7の揺れに2度見舞われた熊本地震から5年がたった。

 この1年で、被災したJR線が全線開通し、崩落した橋の架け替えが完了するなど、インフラ面での復旧は着実に進展した。

 住宅約4万3千棟が全半壊し、一時4万7千人もの人が仮設住宅で暮らしていたが、大半の被災者は住宅再建を進めている。

 だが、今なお418人(3月末時点)が仮住まいを続けている。引き続き住宅確保の取り組みが求められる。

 熊本地震では、住宅再建の支援策として「自然災害債務整理ガイドライン」(被災ローン減免制度)が本格的に活用された。

 東日本大震災を機に金融機関団体が設けた。被災して住宅ローン返済ができなくなった個人が、破産などの法的手続きをせずに、金融機関から債務の減額や免除を受けられる仕組みだ。

 住めなくなった住宅のローンを抱え、家を修繕、新築するにも二重ローンの負担が重くのしかかる被災者の支援を想定している。

 熊本地震では3月末までに372件の調停が成立した。減免で家を修繕でき、再び地元で住めることになったとの声が聞かれる。

 債務整理の手続きを支援する弁護士ら専門家の派遣費用は無料で、財産の一部を手元に残すこともできる。個人信用情報にも登録されないため新たな借り入れも可能となり、被災者にメリットが多いという。

 京都府内にも被害が発生した大阪北部地震や西日本豪雨のように、災害救助法が適用された災害が対象になる。昨年12月からは、新型コロナウイルスの影響で収入などが減った人も特例措置で利用できるようになった。

 だが利用件数は多くない。運営機関によると、これまでの災害に関して専門家の派遣を依頼した件数は昨年12月末時点で約1300件となっており、そのうち債務整理が成立したのは500件余りにとどまっている。

 制度があまり知られていないことが背景にある。始まってまだ5年と歴史が浅く、弁護士や金融機関の担当者も知識が乏しいことが少なくない。

 被災者を含め生活困窮者の窓口となる自治体や福祉団体の職員にも理解を広げたい。

 住宅再建は、被災者の生活復興の基盤である。熊本地震で蓄積された経験やノウハウを、各地の関係者が継承できるよう、周知することが求められる。