「酒と泪(なみだ)と男と女」などの名曲で知られ、今年没後20年を迎えたフォーク歌手河島英五さんの創作ノートやイラスト、愛用のギターなどを紹介する「没後20年 河島英五展-人生旅的途上」が16日から、京都文化博物館別館(京都市中京区)で始まる。

河島さんは世界中を放浪し、日本中をバイクで巡った。そして、数多くのイラストを残した。

 河島さんは高校時代にバンドを結成し、京都のレコード会社からデビュー。ソロに転じてから、1975年の初アルバムで発表した「酒と泪と男と女」が大ヒットした。その後も「野風増」や「時代おくれ」などのヒット曲が時代を越えて歌い継がれている。

 日本中をライブで訪れ、世界を放浪して、人と自然を愛する人柄で親しまれたが、2001年4月16日、48歳の若さで亡くなった。命日は「桜風忌」と名付けられた。

名曲「酒と泪と男と女」は高校生の時につくったという

 命日が開催初日にあたる展覧会は、長女の河島あみるさんら家族や友人が準備してきた。高校時代から書き続けた30冊以上もの創作ノートには、18歳でつくったという「酒と…」の歌詞が残り、時代ごとに歌詞を書きかえたという「てんびんばかり」はその変遷が興味深い。世界を巡って描いたスケッチには優しさがあふれている。このほか愛用のギターやバイクなど約200点が出展される。

河島さんが妻の経営する喫茶店に描いた壁画

 新型コロナウイルスのため、人と人との交流が難しくなった時代。自ら書いた歌詞のままに、人の心を見つめ続けた河島さんならどんなメッセージを届けてくれただろう。きっとそれを探す場になる。

夢で見た河島英五展。「父がやれと言ってるんだなと」

長女の河島あみるさんインタビュー

河島あみるさん(京都市中京区・京都新聞社)

 河島英五さんの軌跡を振り返る展覧会が始まるのを前に、企画した長女でタレントの河島あみるさんに父への思いを聞いた。

 -展覧会のきっかけは?

 「昨夏、河島英五展を開いている夢を見たんです。これはきっと父がやれと言ってるんだなと思い、家族に話しました。亡くなって20年だったと後から気づきました。父は中学2年の時、姉にギターを買ってもらって作詞作曲を始め、高校時代から亡くなるまでの創作ノートが30冊ほど残っています。今回はそれを中心に紹介します」

 -代表曲「酒と泪と男と女」は?

 「18歳の頃のノートにあります。しっかり者のおばさんがモデルで親戚の宴会を見て、男って仕方がないな、女って偉いな、と思ってつくったそうです。よく考えると高校生があの曲をつくったのは面白いですね。ただ、本人は積極的に話しませんでした。デビュー当時、あまりにも若いのでがっかりされたことがあるそうです。『兄貴』と慕う男性ファンが多かったので」

河島英五さんのイラスト

 -時代によって歌詞が違うとか。

 「亡くなった後に発表された『旧友再会』などは、20年ぐらいかけてつくっています。ライブによっても違い、その時の情勢に合わせて言葉を変えたりしています。その変わりようも創作ノートからみていただけます」

 -ライブで全国を巡った。

 「ほとんど家にいませんでしたね。曲づくりのために世界を放浪していましたし。小さい頃の父の記憶はほとんどありませんが、たまに帰ってくるとめちゃくちゃ遊んでくれるんです。だから、寂しく感じたことはありません。『見てはならぬ』と書いたノートには私へのメッセージも残っていました。48歳で亡くなったのは早いけれど、濃厚に生きたんだなと感じます」

 -若い世代にも伝えたい?

 「準備を手伝ってくれた長男がちょうど18歳。最近、若い世代が父の曲をカバーしたりしてくれているので、父を知らない若い人たちでも今の自分に合う歌詞がみつかると思います」

「生きてりゃいいさ」は加藤登紀子さんのために書いた歌という

 -京都で開催するのは?

 「父はもともと京都レコードの所属で、磔磔や拾得など京都のライブハウスを回っていました。『酒と泪と…』も京都から火が付いてヒットしたと話していました。展覧会を開く京都文化博物館からちょうど父の命日から空きができたと連絡をいただき、そういうご縁なのだと鳥肌が立ちました」

 -コロナ禍の時代に河島英五ならどんなメッセージを出したでしょう。

 「加藤登紀子さんや南こうせつさん、BOROさんら父と仲の良かった方からいただいたメッセージも展示しますが、英五さんだったら今の時代をどんな風に歌うだろうと書いてくださって。父は幸せだなと思いました」

 -ファンへのメッセージを。

 「『元気だしてゆこう』という曲に『志が少年を一人前の男にする 志を持ち続けることで男は少年に帰る』という歌詞があります。父と同年代の方に届けたいです。今回、新たに詩集とCDも出しますが、あらためて父をかっこいいなと思いました」

河島英五展・愛用のギター

 ウェブ限定でインタビュー全文

 京都新聞ID会員向けに、河島あみるさんインタビュー全文を掲載しています。
 記事はこちらから。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/547759