3月下旬、京都市南区の京都九条病院に救急車が止まった。その直後、口元に酸素マスクをした車いすの若い女性が、新型コロナウイルス患者の専用口から看護師らに付き添われて出てきた。支えを頼りに立ち上がり、救急車のストレッチャーへ横たわる。「頑張ってくださいね」。医師や看護師の言葉を背に、救急車はサイレンを鳴らし重症者用の病院へ向かった。


 この女性患者のように、新型コロナ感染症の軽~中等症をケアする病院から、重症者用の病院へ移る例は「上り搬送」と言われる。一方、重症者が回復して別の病院に移るのは「下り搬送」。治療能力や病床数が病院ごとに異なる中、患者の症状の変化に応じて柔軟に連携する合言葉として、昨年末ごろから使われ始めた。

 「上り搬送と下り搬送の仕組みは地域医療の一つの在り方を象徴している」。同病院理事長で、府医師会長の松井道宣氏は語る。

 コロナ禍以前から病院間の連携はあったが、あらためて重要性が認識されたという。京都府内では1月30日時点で、重症者を受け入れる14病院と中等症以下を担う19病院で役割分担する態勢が確立されていた。


しかし回復した高齢患者を巡っては、まだ……