地下駐車場の消火設備から二酸化炭素(CO2)が放出され、男性作業員4人が死亡、1人が意識不明の重体となる事故が東京都新宿区のマンションで起きた。設備が誤作動したことによるCO2中毒とみられている。

 各地の身近な施設で類似の死亡事故が最近、相次いでいる。詳しく原因を調査し、再発を防がねばならない。

 設備は、火災時にCO2を含むガスを充満させ、酸素濃度を下げることで鎮火する。水や消火剤をかけて周りの機器類を損傷させないよう、機械式駐車場や電気室などに多く設置されている。

 CO2は無臭、無色のため、放出に気付きにくい。

 総務省消防庁がまとめた安全対策ガイドラインによると、吸引した場合、気中濃度が3%を超えると頭痛やめまいの症状が出始める。10%以上で意識を失い、呼吸が止まって死に至る。

 今回の現場で消防隊員が計測したCO2濃度は約20%に上ったという。

 こうした危険性から、消火ガスの噴出前に避難を呼び掛けるアナウンス機能がある。今回も作動したとみられるが、逃げる時間もなかったのか、犠牲を防ぐことはできなかった。

 同タイプの設備では、昨年12月に名古屋市のホテル地下駐車場で消火ガスが噴出し、作業員1人が死亡した。今年1月には東京都港区の地下駐車場でも設備を点検中の2人が亡くなった。いずれもCO2中毒とみられる。

 同庁はこれらの事故のたびに、全国の消防に安全対策の徹底をうながしていた。

 工事や保守、管理の際には、消防設備士が立ち会うなどして安全を確保するよう業者に求めている。利用者に対しても、設備の操作や避難方法について周知することを呼び掛けてきた。

 京都市や大津市の消防局もホームページで注意喚起をしている。

 危険性は設備関係者には一定理解されていたとみられる。今回犠牲になったのは天井を張り替えていた業者だという。留意すべき情報は行き届いていただろうか。

 事故をこれ以上繰り返さないために、消火設備の構造や誤作動した場合に備えた安全策に改善すべき点はないか、しっかりと見直してほしい。

 設備はマンションやオフィスビルなど各所にある。住民や利用者らにも危険が及ばないか、再点検したい。