どうにも、ふに落ちないとはこのことだ。

 フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)が、放送法の外資規制に違反していたのに、所管の総務省が事業者としての認定取り消し処分を、見送っていた問題である。

 同様に、外資規制に違反した東北新社は、衛星放送事業の免許を取り上げられた。厳しい処分だ。

 先日の衆院総務委員会で、同省の局長は「担当者の認識が甘かった」と、不備を認めた。猛省を促したい。

 フジ・メディアHDが行った違反は、2012年9月末~14年3月末に、外資の議決権比率が、放送法の制限を超えて20%以上になっていた、というものである。原因は、集計の誤りだったとされている。

 外資規制には、社会的影響力が大きい放送局に、外国の干渉が及ばないようにするとの目的がある。

 公共の電波を利用する事業者が、放送の独立性を保つのに、守らねばならない取り決めだ。違反すれば、認定が取り消されることになっている。

 個別の事業者を傘下に置く持ち株会社も当然、規制の対象になる。HDに非があるのは、いうまでもない。

 総務省がHDから報告を受けたのは、14年の暮れだった。外資規制に違反した状態は、すでに解消されていた。

 放送法を担当する課長が応対し、上司の局長の判断で口頭による注意にとどめ、認定の取り消しをしなかった。

 当時の総務相らに報告は上がらず、違反した事実の公表にも至らなかった。

 実質的に、「おとがめなし」である。監督官庁としての責任を、果たしていない。

 取り消し処分をしなかった根拠として持ち出してきたのは、約40年前に内閣法制局が別の法律について示した「処分する時点で、違反した状態でなければならない」とする見解だ。

 東北新社のケースでも、発覚時に違反は解消されていた。それなのに、処分が下った。

 これでは、内閣法制局の見解と矛盾するし、HDのケースと整合性がない。

 そもそも、違反を解消したうえで報告すれば処分されないのであれば、事業者はすべてそうするだろう。正直者は、損をすることになる。

 処分当時、菅義偉首相の長男ら東北新社側による同省幹部への接待が大きな問題となっていた。野党は、同省が違反を知りながら、見逃しているのではないかと追及していた。

 このため、同省は強硬な処分をして、批判の高まりを抑えようとした、との見方もある。

 武田良太総務相は、放送法の改正も視野に入れながら規制を見直し、外資に対する監視体制の実効性を高める意向を示している。

 また、諸外国の外資規制について調べるチームを省内に設置したが、弥縫(びほう)策とみられても仕方なかろう。

 その前に、今回のような恣意(しい)的な法の運用は、やめておくべきだった。