世界遺産・仁和寺前に建設が計画されているホテル(左)のイメージ=市提供

世界遺産・仁和寺前に建設が計画されているホテル(左)のイメージ=市提供

 京都市は19日、上質な宿泊施設を誘致する制度の選定第1号に、世界遺産・仁和寺(右京区)前で予定されている高級ホテルの建設計画を選んだ。世界遺産の周辺地にふさわしい景観や住環境を守るため、事業者と地域住民が協議を重ねてきた点などを評価した。

 土地は同寺南側の民有地約3900平方メートルで、重要文化財の二王門を間近に望み、世界遺産を保護するための「バッファゾーン(緩衝地帯)」にある。国内外でホテルや学生向けの寮事業を展開する「共立メンテナンス」(東京都)が土地を所有する民間会社と50年間の借地契約を結び、地下1階、地上3階建て、延べ床面積約5800平方メートルのホテルを建設する計画で、2023年8月の開業を目指す。客室は67室を予定し、宿泊単価は高価格に設定するとみられる。

 事業者と地元の「仁和寺門前まちづくり協議会」が17年ごろから協議を開始。周辺の住環境に配慮して露天風呂を無くしたり、建物を境界から後退させることで事実上歩道を広くしたりするなど、地域住民の意向に沿った計画が策定された。この土地を巡っては15年にガソリンスタンドとコンビニが進出を計画し、地元住民の反対を受け撤回した経緯がある。

 土地は第1種住居地域にあり、延べ床面積3千平方メートルを超える宿泊施設は原則建てられない。市は事業者と地元との協議が一定整ったことに加え、調度品に西陣織など伝統産業製品が用いられるなど経済効果も期待できることから、上質な宿泊施設を誘致する制度を初めて適用すると決めた。同制度で直接規制は緩和されないが、市として計画に「お墨付き」を与え、今後の手続きをスムーズにする効果があるという。

 今後は、建築基準法に基づく特例許可の対象とするかなどを関連の審議会が議論する。市観光MICE推進室は「観光の力が地域課題の解決に貢献する好事例になる。地域の文化の継承などにつなげていきたい」としている。