その指先に魅せられて

上村松園「花のさかづき」

 「美人」は絵画でどう表現されてきたのか。酒杯を手にうっとりした目もと、雪の日の寒さで紅潮した頰、書を読みふける姿、花を持つ指先。近世の浮世絵から近代までの作品を通じて、しぐさや表情などさまざまな面から美人の表現に迫る。

池田蕉園「もの詣で/春の日」

 昨年、新型コロナウイルス感染拡大のため会期の途中で終了した企画展を、新たな作品も加えて再構成した。館が所蔵する上村松園(1875~1949年)の作品24点を前・後期に分けて展示するほか、再発見された池田蕉園(1886~1917年)の「もの詣で」など全105点を紹介する。

上村松園「美人観月」

 池田蕉園は東京出身の女性画家。雅号は美人画の名手とうたわれた上村松園にあやかるよう師が付けた。31歳で早世したが、優美な女性像を残した。

上村松園「長夜」

 「もの詣で」は第1回文展(1907年)で3等賞24点の一つに入った。別の作品「春の日」と屏風(びょうぶ)仕立てで展示する。この時、3等賞第1席となったのが松園「長夜」で、前期展示で見ることができる。

竹久夢二「長崎十二景(青い酒)」
山川秀峰「振袖物語」

 竹久夢二の「長崎十二景」と「女十題」も入れ替えながら展示する。愁いに満ちた表情が背後の物語を思わせる。前回人気だった山川秀峰「振袖物語」や伊藤小坡(しょうは)「製作の前」なども通期展示する。

安藤広重「美人と猫図」

 池田蕉園の描く女性の柔らかな表情は、上村松園のりんとした女性とは全く違う。それぞれが目指した方向を考えることで「美人」の表現がより深く味わえそうだ。

掲載作品はすべて福田美術館蔵



【会期】前期=6月2日(水)~6月7日(月)後期=6月9日(水)~7月4日(日)。前後期で展示替えあり。火曜休館
【会場】福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【入館料】一般・大学生1300(1200)円、高校生700(600)円、小中生400(300)円。かっこ内は20人以上の団体料金。嵯峨嵐山文華館との2館共通券あり
【主催】福田美術館、京都新聞