米国と中国が、協力して気候変動に対処するとした共同声明を発表した。

 二酸化炭素(CO2)の2大排出国である米中の協力は、地球規模の温暖化対策に不可欠であり、明るい動きといえる。国際的な排出削減の取り組みをリードする責任を果たしてほしい。

 共同声明は、バイデン米政権で初の閣僚級高官として中国を訪問した元国務長官のケリー気候変動問題担当大統領特使と、中国の解振華気候問題担当特使が会談し、確認した。

 両国は、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に基づき、2020年代の気候変動対策の行動強化を約束した。CO2などの排出実質ゼロを実現するための自国の戦略を、11月に英国で予定される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までにまとめるとした。

 発展途上国のインフラ整備支援でも、CO2排出量が多い化石燃料の施設から再生可能エネルギーなどへの移行を後押しするとした。

 だが、いずれも排出ゼロに向けた数値目標や具体策にまでは踏み込んでいない。これまで自国経済優先で温暖化防止に後ろ向きだった両国が具体的にどのような取り組みを進めるのか。本気度を示す必要があるだろう。

 共同声明の背景には、米中それぞれの思惑がある。

 バイデン政権は、気候変動対策を米国の外交と国家安全保障の柱に据える。

 ケリー氏の訪中と同時期に行われた日米首脳会談では、脱炭素化とクリーンエネルギーに関する「日米気候パートナーシップ」の設立や、30年の排出削減目標の達成に向け協力を強化することで一致した。

 米国は太陽光パネルや電気自動車などの再生エネルギー分野で、中国に後れを取っていることに危機感を募らせている。環境分野を通じ、再び世界のリーダーとなることを目指す考えのようだ。

 中国は、香港やウイグル族の人権、南シナ海などを巡る問題で米国と対立する。だが利害が重なる分野では協調する姿勢を示し、米国との関係改善の足掛かりにしようという狙いがあるとみられる。

 22、23日にバイデン大統領が主催する気候変動に関する首脳会議がオンライン形式で開かれる。

 気候変動という人類共通の課題を、両国間の駆け引き材料にしてはなるまい。各国を含めた国際的な枠組みを尊重しながら、世界の脱炭素化達成に貢献してほしい。