またしても記録的な大雨が、千葉や福島などを襲った。土砂崩れや河川の氾濫で犠牲者が出ている。東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらした台風19号から約2週間。復旧に手をつけ始めた直後の追い打ちである。

 政府は台風19号で損壊した自治体管理の道路の復旧を国が代行することを決めた。インフラだけでは済むまい。これ以外の被害についても、支援に全力を挙げてほしい。

 災害が起きると、地域社会のぜい弱な部分があらわになる。

 とりわけ高齢者や障害のある人たちにとっては、日常生活を取り戻すこと自体が、精神的にも金銭的にも重い負担になる。

 被災した各地域では復旧作業が徐々に進んでいるが、泥水がついた家を前に立ち尽くす高齢者も少なくない。

 台風19号で川の堤防が約40メートルにわたって崩れ、700軒以上の住宅地が浸水した栃木県佐野市を訪ねた。いまも多くの住民が避難生活を強いられている。

 同市の佐藤裕一郎さん(76)は、家に流れ込んだ泥をスコップでかき出しながら途方に暮れた表情を見せ、「家具や電化製品は買い換えないといけない。年金生活者にとって、この損害はつらい」と語った。

 こうした「災害弱者」を復旧の動きから取り残さず、支えていく仕組みが大切だ。

 ただ、浸水被害を受けた住宅の大半が被災者生活再建支援法の対象にならない可能性が出ている。同法で支援金が支給されるのは床上1メートル以上の浸水に限られるが、被災家屋の大半はこの基準に満たないからだ。

 家の修理や家電、家財道具の買い換えなど、元の生活を取り戻すには少なくない資金が必要になる。生活再建を支える仕組みについて、突っ込んだ議論が必要ではないか。

 被災自治体には災害ボランティアセンターが開設され、週末を中心に活動が始まっている。

 過酷な状況で精神的にもダメージを受けている人たちの助けになることが期待される。

 途切れることなくボランティア活動が続くよう、行政も長期的な構えで支える必要がある。

 障害があるなどの理由で特別な配慮がいる人たちを受け入れる福祉避難所の重要性も浮かびあがった。

 埼玉県では、被災した障害者施設の利用者らが数日おきに避難所を移動せざるを得なくなり、多くの人が体調を崩した。

 自閉症などの発達障害を持つ人は急な環境変化に適応するのが難しいことが多い。

 この施設の職員は「日ごろから地域の人と接する機会を増やしておくことが、いざというときのために重要だと実感した」と話す。

 同県などでは介護福祉士らが「災害派遣福祉チーム」をつくり、障害福祉施設の避難生活支援にあたり始めた。京滋でも参考にしたい取り組みである。

 冬が近づいている。被災自治体は公営住宅の入居受け付けを始めているが、民間の賃貸住宅を利用する「みなし仮設」も活用し、住宅確保を早急に進めてほしい。