新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける高齢者(4月13日、京都府伊根町六万部・特別養護老人ホーム長寿苑)

新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける高齢者(4月13日、京都府伊根町六万部・特別養護老人ホーム長寿苑)

 全国で新型コロナウイルスのワクチン接種が1瓶当たり5回で始まる中、京都府伊根町が、インフルエンザの予防接種などに使う注射器の在庫分を使い、独自に7回接種を進めている。ワクチン供給日程が確実に見通せず、高齢化率が50%近い町で早く多くの人にワクチンを届けようとする現場の工夫が生まれた。

 米ファイザー製ワクチンは、原液を希釈して1瓶2・25ミリリットルとし、1人0・3ミリリットルを使う。ただ、国が支給した注射器は先端部に薬液が残りやすく、5回しか打てないのが課題だ。

 伊根町は、宇治徳洲会病院(京都府宇治市)のインスリン用注射器を使った7回接種の手法を参考に、町国民健康保険伊根診療所に在庫があった、針と筒が一体で薬液が残りにくい注射器を使用した。針の長さは13ミリで国が供給する注射器よりも短いため、視診と触診をして皮下脂肪が厚い人には国の供給品で対応している。

 13、20日に特別養護老人ホームで行われた1回目の接種は12瓶を使用。国の注射器では60回分だが、入所者と職員84人に接種できた。京都府ワクチン接種対策室は「理論的には1瓶で7回接種が可能で、工夫は悪いことではない。ワクチンは各自治体で有効に使ってほしい」と話す。

 接種を担う医師の石野秀岳所長は「私たちもこうした努力をしているので、多くの人に受けてほしい。協力してもらえれば、さらに安心して生活できるようになる」としている。今後始まる一般高齢者の接種に使うかは未定という。