新型コロナウイルスで家族を亡くした人の精神的ダメージを懸念する声が専門家の間で高まっている。医療や心理、福祉関係者らでつくる「日本グリーフ&ビリーブメント学会」の学術大会(3月にオンライン開催)でも「コロナ禍における遺族支援」と題するシンポジウムが企画された。私たちはどんなことに留意すべきか。同学術大会長を務め、薬害エイズ遺族の心のケアに取り組んできた村上典子医師(神戸赤十字病院心療内科部長)に聞いた。(聞き手・岸本鉄平)

―新型コロナウイルスによる死別が他と異なる点は。

 感染症が原因の死別であり、遺族が差別や偏見を恐れて周囲に隠さざるを得なくなるという特徴がある。日常生活では感染が広がらないエイズウイルスとは違い、新型コロナは周囲の人に容易に感染してしまうリスクがあるため、家族が終末期に対面できなかったり、看取(みと)ることができなかったりと、エイズとは別の困難が存在することも懸念される。

―こうした死別は遺族にどのような影響を及ぼすのか。

死別によるストレスは誰もが経験する。だが、通常と異なる死別のプロセスを経た人たちには……