パイプライン構想の研究で、LNG基地のシミュレーションが行われた埠頭付近の舞鶴湾(舞鶴市平)

パイプライン構想の研究で、LNG基地のシミュレーションが行われた埠頭付近の舞鶴湾(舞鶴市平)

ガスパイプラインのルート案

ガスパイプラインのルート案

 舞鶴港(京都府舞鶴市)に液化天然ガス(LNG)基地をつくり、パイプラインで太平洋側へ―。京都府と兵庫県が6年前から進めてきたガスパイプライン構想が足踏みしている。舞鶴若狭自動車道を活用した敷設や舞鶴湾に洋上基地をつくる調査も行ったが、巨費が必要で事業化のめどは立っていない。2050年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」の政府方針もあり、先行きは不透明感を増している。

 11年3月11日の東日本大震災。仙台市ガス局は未曽有の事態に見舞われた。津波でガス製造設備が損壊し、35万世帯への供給がストップした。港でのLNG船受け入れも9カ月間停止したが、供給は震災12日後に再開できた。日本海側の新潟県と結ぶパイプラインがバックアップ機能を果たしたからだ。

 ガスパイプラインは民間事業者の敷設が基本で需要の多い太平洋側に集中。関西の日本海側は空白地帯となっており、太平洋側と結ぶルートはない。南海トラフ巨大地震も想定される中、山田啓二前府知事は16年の府議会で「巨大地震の時、経済的基盤を守れない」と必要性を強調した。

 府と兵庫県はガス事業者や地元経済関係者らを委員とする「北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会」を15年に立ち上げ、舞鶴港から同県三田市への約100キロのパイプラインを構想した。綾部市、福知山市の工業団地を通るため、企業振興にもつながる。次世代エネルギー資源として期待され、日本海の海底に眠るメタンハイドレートの受け入れも想定した。

 ただ、実現には巨費がかかる。研究会では当初、起伏の少ない舞若道を利用すれば費用が抑えられると見込んだが、実際はトンネルの整備費用がかさみ、ガス供給設備を含めて舞若道が400億円、一般道が260億円かかる結果となった。