新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、関西などを中心にコロナ病床が逼迫(ひっぱく)し、重症者の治療や入院受け入れに支障が出ている。いかに受け入れ態勢を拡充し、医療崩壊の危機をしのぐかが喫緊の課題だ。

 奈良県は全国で初めて、改正感染症法に基づき、民間病院を含む県内全ての病院に病床確保を求めた。

 改正法では、医療機関側が要請に応じない場合、より強い「勧告」に切り替えられ、それでも従わなければ病院名を公表できるとしている。

 奈良県では、22日までの病床使用率が71%にまで上昇していたが、要請により、11病院が33床の増床に応じたという。一定の効果はあったと言える。

 重症患者が専用ベッド数を上回り、病院が決まらずに7時間以上患者が待機させられる事例が出た大阪府も、新たに中・軽症者用に1100床の確保を要請中だ。

 それでも病床は足りていない。病床確保が進まない背景には、病院側の事情があるようだ。

 コロナ患者を受け入れるには、専門知識を持った医師や看護師の確保が必要となる。

 コロナ患者とそれ以外の患者の動線を分けることができない施設もある。通常の入院は減り、風評から受診控えが起きるとの懸念も強い。

 行政から一方的に病床確保を求められても、即応できないジレンマを抱えている。

 政府は1床につき最大1950万円を医療機関に補助する制度を創設しているが、行政の指示が及びにくい中小の民間病院が多いため、「経営を優先すれば、財政補填(ほてん)があっても消極的になる」と指摘する専門家もいる。

 医療現場からは、勧告を受け入れない病院名の公表に批判的な声も聞かれる。病床確保の切り札とされる改正法も、対応を誤れば自治体と医療機関の信頼関係を傷つけかねない。

 一方、独自の工夫で乗り切ろうとしている自治体もある。

 長野県松本市では、地域の医療機関などでつくる既存の協議会が中心となり、病院ごとの役割分担を決めている。民間病院も積極的に病床確保に協力しており、モデルケースになりそうだ。

 コロナへの対応力を高めるためには、病院側とのさらなる連携が必要だ。増床に応じる病院に対して継続的な財政措置を行うなど、国や自治体は病院への具体的な支援に力を入れてほしい。