今世紀半ばの温室効果ガス排出実質ゼロに向けて、国際社会が一歩踏み出した。

 米国のバイデン大統領が主催する「気候変動サミット」で、主要排出国が脱炭素社会への道筋を示した。日本も2030年に13年度比で46%削減する新たな目標を表明した。排出ゼロにつなげる30年の目標をどう定め、実現性を持たせるか、国際公約が出そろった。

 サミットは22、23両日、オンラインで開かれた。米国との対立が目立つ中国の習近平国家主席も参加し、菅義偉首相やロシアのプーチン大統領ら主要排出国首脳を含む40人全員が招待に応じた。異例な規模の首脳会合となった。

 バイデン氏は大統領就任直後からトランプ前政権が離脱した地球温暖化防止のための「パリ協定」への復帰に着手し、サミット開催を提唱。11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)へ機運を高めたと言える。

 焦点となった温室効果ガスの排出削減目標の引き上げで、米国は30年に05年比で50~52%減とする新目標を発表した。オバマ元政権時代に設定した目標数値をほぼ倍増させた意欲を評価したい。

 中国は60年までに実質ゼロにする従来目標を強調。既に欧州連合(EU)は30年までに1990年比で少なくとも55%減、英国も同68%減に目標を上積みしている。

 目標にばらつきはあるが、2050年排出実質ゼロを目指す工程が明確になった。米国の離脱で失速が懸念された「脱炭素」の取り組みに各国が再び結束する契機と受け止めたい。

 ただ実効性が気掛かりだ。

 日本は菅政権が掲げた排出実質ゼロの「50年カーボンニュートラル」への道筋として30年目標を従来より大きく引き上げた。だが今後9年間に進める具体的な政策は未定で、「見切り発車」の感が強い。官民の取り組みを加速させる狙いとはいえ、高い目標を表明した以上、画餅に帰さぬよう、いかに達成するのか、施策の具体性やスピード感、実効性が問われる。

 サミット冒頭、バイデン氏は気候変動を「われわれの生存に関わる危機だ」と訴えた。気候変動の影響が指摘される災害が頻発しているが、一国では解決できない。各首脳が新たな達成目標を示した意味は大きく、対策強化の必要性が再確認されたに違いない。

 各国が技術革新や再生可能エネルギーの拡大によって目標達成を急ぐだけでなく、発展途上国への資金や技術の支援も欠かせない。