遠い異国の地で兄優介が自ら命を絶った。妹の奈緒は、まだ幼い長男を連れてオーストリアの古都ウィーンの街をさまよい、兄の生きた断片を拾い集める。作家黒川創さんの新作は、大きな歴史の中に生きて死ぬ、名も無き個人の人生に寄り添う中編小説だ。