感染予防のため横並びで間隔をあけて作業するお茶摘みさんたち(2020年5月、宇治市宇治)

感染予防のため横並びで間隔をあけて作業するお茶摘みさんたち(2020年5月、宇治市宇治)

 昨年から続く新型コロナウイルス禍が茶業界を直撃し、全国の産地で価格や売り上げが大きく落ち込んでいる。生産者だけでなく販売や茶道界にも影響が及び、とりわけ高級品として知られる「宇治茶」への打撃が大きいとされる。このほど野党国会議員が茶業支援法案を提出した。京都府内の関係者らが成立への期待を高めている。

 23日午前、立憲民主党の「お茶振興議員連盟」の議員ら約10人が、国会内の衆議院事務総長室を訪れた。議連会長の山井和則衆院議員(比例近畿)は「多くの農産物が苦境にあるが、特に茶業が厳しい。先行きに不安を感じている業界を支援したい」と強調し、生産や販売の現場へ総額327億円の財政支援を行うなどの内容の法案を岡田憲治事務総長に提出した。

 山井氏は「昨年も今年も新茶シーズンを緊急事態宣言が直撃し、茶業界が苦しんでいる。国の対応を待っていては手遅れになりかねない。法案提出は危機に対して先手を打つことだ」と説明し、与党との調整や農林水産省への要望を通じて法案の早期成立を目指す。

 京都府内で生産される茶の約75%を取り扱うJA全農京都茶市場(城陽市)によると、高級抹茶になる手摘みてん茶の平均単価は、19年の1万4479円から20年は1万2022円に下がった。機械摘みのてん茶や玉露なども2~3割の価格下落に見舞われた。

 収益悪化から、生産者は二番茶の生産量を19年の355トンから20年は174トンとするなど、対応に苦しむ。通常、市場への流通量が減れば売買単価は上昇するが、コロナ禍の昨年は買い手が少なく反転しなかった。同市場の担当者は「例年通りに生産していたら、もっと単価が下がっていたと思う」という。

 宇治市観光協会によると、政府の観光支援策「Go To キャンペーン」の効果もあって昨夏から秋にかけて観光客が戻りつつあったものの、感染が再拡大した冬からは再び人出が減っている。高級品の宇治茶は土産や茶席で消費されることが多く、観光客が激減したり茶会などの催しが相次いで中止されたりした影響で、売り上げが落ち込んでいるという。

 今年は春先から気候が良く、19日の初市では2000年以降で最高値が付くほど良質な茶葉が収穫されている。京都府などに緊急事態宣言が発令され、同協会の担当者は「大型連休は稼ぎ時なのに。なかなか買い手が付かず厳しいだけに、支援法案提出の動きはありがたい」と期待を込める。