菅義偉政権下で初の国政選挙となった衆参3選挙で、自民党が不戦敗を含め全敗した。

 後手に回る新型コロナウイルスへの対応や、相次ぐ金権政治の不祥事など、発足から7カ月になる政権に対する有権者の強い不満の表れといえよう。

 厳しい審判を重く受け止め、謙虚な姿勢で政権運営を改めていかねばならない。

 大きな焦点となったのは「政治とカネ」問題だ。

 3選挙のうち、衆院北海道2区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙が行われた原因である。北海道は、収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農相の辞職に伴う補選で、逆風の強さに自民は早々に候補者擁立を断念した。

 参院の広島再選挙と長野選挙区補選は与野党対決となった。自民は保守地盤の強い広島で勝って「全敗回避」をもくろんだが、野党共闘候補に打ち砕かれた。

 広島再選挙は、公選法違反(買収)で有罪が確定した河井案里前議員(自民を離党)の当選無効に伴う。公判で買収行為を認め、夫の克行元法相(同)も衆院議員を辞職した。多数の地元議員らも関わった自民の金権体質にノーが突き付けられた形だ。

 自民党本部が河井夫妻側へ提供した1億5千万円の使途を含め、相次ぐ不祥事の解明に政府・与党は消極的だ。長男らによる総務省幹部接待問題で、人ごとのように対応する首相の姿勢にも厳しい目が向けられたのではないか。

 コロナ対応の遅れにも不満が強い。感染再拡大を止められず、政府は3度目の緊急事態宣言を発令した。深刻な病床逼迫(ひっぱく)と遅々としたワクチン接種に不安が膨らんでいる。

 日本学術会議を巡っても、首相は新会員任命拒否の理由を明かさず、解決策は見えないままだ。

 共通するのは、国民への丁寧な説明や議論に向き合わず、強権的に映る政権の姿勢だ。その反発が、今秋までにある衆院選の前哨戦で示された。与党内では早期解散への慎重論が強まり、首相の衆院解散戦略にも影響するのは必至だ。

 政府・与党は、最優先すべきコロナ対応に全力を挙げ、国民への説明と対話を尽くす中で協力と信頼を得る姿勢が求められよう。

 一方、立憲民主党など野党側は全勝という共闘効果を示し、衆院選への弾みにしたい考えだ。

 ただ、原発や安全保障などの政策の相違を巡る連携のきしみも露呈した。政権構想を含めた政策協議を加速させてほしい。