災害時に、障害者や高齢者ら災害弱者のよりどころとなる福祉避難所の確保が遅れている。

 全国の主要51市のうち、福祉避難所の開設を広く公表すると決めているのは2割弱にとどまっていることが分かった。

 さらに15府県の集計によると、把握できている受け入れ可能人数は対象者数のわずか18%という。

 福祉避難所の仕組みや役割について、現状では理解が進んでいない。存在自体を知らない住民も多いのではないか。

 「一般の避難者が殺到しかねない」などとして公表しない自治体が多いが、本来守られるべき人が利用できないのは弊害が大きい。周知を図るべきだ。

 福祉避難所は一般の避難所では生活に支障を来す人たちが過ごせるよう、自治体がバリアフリー化した福祉施設などを事前に指定するか、施設と協定を結んで災害時に開設できるよう準備する。

 1995年の阪神大震災をきっかけに必要性が認識され、東日本大震災後に国が自治体向けのガイドラインを作成した。全国の9割以上の市町村が少なくとも1施設以上を指定済みという。

 だが、過去の災害で十分に活用されたとは言いがたい。昨年の北海道地震では、札幌市が一般避難所に来た人だけを福祉避難所に移し、開設を公表しなかった。

 開設を公表しない自治体の多くは「二次的避難所」と位置づけている。しかし支援を必要とする人が福祉避難所への移動を現場で訴えるのは困難だろう。ガイドラインの見直しが必要ではないか。

 阪神大震災の経験を踏まえ、神戸市では市指定の施設が自主的に福祉避難所を開設できるよう独自の制度を整えた。一般避難所とほぼ同時に開き、自宅などから直接向かうことができる。

 こうした取り組みを広げたいが、そもそも自治体が福祉避難所の必要数をきちんと把握できていないとの専門家の指摘もある。

 災害対策基本法の改正で、要支援者一人一人の個別の避難計画を作ることが求められているが、策定が進んでいないためだ。

 自治体のマンパワーには限界がある。避難所運営にも必要な備品や機材、人員を確保しなくてはならないが、介護などの現場は普段から人手不足である。

 とはいえ、災害時に福祉避難所の機能不全が繰り返されることはあってはならない。国は取り組みが進まない現状を検証し、必要な支援策を打ち出してほしい。