「おじぞうさんはいつでも」と題する絵本は、お地蔵さんの優しい表情と色彩豊かな四季の風景が印象深い。宗教学者の山折哲雄さんの詩に永田萠さんが絵を描いた▼詩は、東日本大震災の被災地にお地蔵さんを建立する団体の活動に賛同してつくられた。「平成地蔵讃歌」と呼ばれる一節にある▼<いのちの対話がはじまるんだよ/死んでしまった人と生き残った人の/その出会いの場所で/その場所に/お地蔵さんが立っている>▼この場所でも、いのちの対話が続けられていたのだろう。2013年夏、福知山市の花火大会会場で起きた露店爆発事故の現場である。犠牲になった3人を悼み、事故から2カ月後に由良川堤防にお地蔵さんが祭られた▼設置した市内の高橋保さん(66)がほこらを据え、毎週のように花を供え、草刈りをするなど守ってきた。由良川を見つめるお地蔵さんに、通行の市民が足を止めそっと手を合わす。そんな風景が事故の記憶をつないできた▼一帯を管理する国の占用許可の延長が認められず、撤去されていた。「慰霊の役割は果たせた…。でも忘れられてしまう」と高橋さん。現場に事故を伝えるものはなくなった。「二度と繰り返されない誓いの場に」。せめてその思いは受け継ぎたい。いのちの対話が途切れないように。