柔道着に縫い付けられた「安」の文字に、気恥ずかしさを覚えた。小学生の時、試合会場で目にするのは「山田」や「田中」といった名前ばかり。「なんで俺だけ。なんで日本人に生まれてこんかったんやろう」。かすかな記憶がこびりついている。在日コリアン3世の柔道家、安昌林(アンチャンリン)(25)。京都市南区東九条で育ち、地元道場に通った。筑波大で学生日本一に輝くも、外国籍のため出場できる大会は限られた。日本国籍の取得を勧められたが「祖父母が守ってきた国籍を自分の思いで変えられない」。20歳を前に、ルーツである韓国代表として戦うことを決意し、韓国柔道の名門・龍仁大に編入。世界選手権で優勝するなどエースにのし上がり、東京五輪では…