新装された国立競技場に観客の姿はなかった。8月の陸上セイコー・ゴールデングランプリ。女子1500メートルで同志社大の田中希実(21)が14年ぶりに日本記録を更新しても、会場はどよめかず、高揚感はない。「五輪は観客でいっぱいになり盛り上がると思う」。男子100メートルを制した彦根市出身の桐生祥秀(24)=洛南高―東洋大出=のオンライン会見での言葉とは対照的に、祝賀ムードは戻っていない。
 コロナ禍で五輪への風当たりが強まるとともに、アスリートが存在意義を見失いかけている。「世の中がこんな大変な時期に、スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かる」。延期された大会1年前。競泳の池江璃花子(20)が…