京都府京丹波町で実際に降ったひょう。しばらく時間がたって溶けた後だが、500円玉ほどの大きさがあった(2014年6月、読者提供)

京都府京丹波町で実際に降ったひょう。しばらく時間がたって溶けた後だが、500円玉ほどの大きさがあった(2014年6月、読者提供)

 「ひょう」の実物を見たことがある人はどれぐらいいるだろうか。ひとたび降ってくると農作物や民家に被害をもたらし、過去には死者を出したこともある。突然、天から氷の塊が降り注ぐ現象は、5月に最も多く発生する。

 ひょうは積乱雲の中で作られることが多い。雲の中は猛烈な上昇気流が起こっており、小さな雨粒が巻き上げられるうちに凍っていく。氷の粒は、上昇気流と重力によって上下降を繰り返し、重力が勝る大きさに達すると地上へ落ちていく。直径5ミリ以上がひょう、5ミリ未満はあられとされる。

 発生は全国的に5月が最多で、5~7月で年間の発生件数の約70%を占める。真夏は上空が暖かいため氷塊ができず、冬は上昇気流が強くないので氷塊が大きく成長しないという。

 1989年4月以降、京都地方気象台(京都市中京区)で3回、彦根地方気象台(滋賀県彦根市)で7回のひょうを観測している。しかし、雨や雪に比べひょうの降る範囲は極端に狭く、実際の発生数はもっと多い。農作物などへの「ひょう害」は、確認されただけでも京都府内で89年以降、福知山市や南丹市などで少なくとも15件に上る。

 ひょうの威力はどれほどなのか。落下速度は、粒の直径5ミリだと時速36キロで、負傷する可能性は低い。しかし、直径5センチほどで時速115キロ、直径8センチなら時速160キロ程度になると推定される。米大リーグの大谷翔平投手に、いきなり空からデッドボールをぶつけられるようなものだ。

 そんな巨大なひょうが実際にあるのか。1917年6月、埼玉県長井村(現・熊谷市)で、国内で過去最大とみられるひょうが降った。気象台職員の記録によると、最大の氷塊は「カボチャ大」で重さ3・4キロもあった。多くのひょうが民家の屋根を突き破って屋内に達し、田んぼに直径50センチの穴が空いたという。

 兵庫県中部では33年6月、ひょうによる死傷者170人以上を出した。京都府京丹波町でも2014年6月、「こぶし大」のひょうが降り、民家に被害をもたらしている。

 ひょうが降る前には、急に空が暗くなり、冷たい風が吹いたり、雷鳴が聞こえたりすることが多い。降り始めたら、すぐに建物内に避難したり、運転中なら路肩に停車したりすることが必要だ。

 ちなみに気象台は20年2月で、ひょうの観測、記録を廃止した。ひょうや雷、突風といった激しい気象現象を捉えるレーダーなどが充実したことで、早めの注意喚起が可能になり、目視確認の必要性が薄れたため、という。