<京の知恵 しあわせの食 小宮理実>

 こんにちは。料理研究家の小宮理実です。緑が日ごとに成長し、天地に満ちていくようで、生命の力を感じずにはいられません。小満(しょうまん)を迎えて雨でぐずつく日も出てきますが、一雨ごとにわが家の小さな庭の緑も生き生きするようです。

 さて、食卓には初ガツオがお目見えです。魚好きなもので、あれこれ工夫するうち、サラダ感覚のカツオのたたきが生まれました。表面を焼いたカツオに、新タマネギ、ワカメ、ネギを添え、オリーブオイルで熱したニンニクのスライスをのせて、酢じょうゆを回しかけていただきます。野菜たっぷりながら、ニンニクのパンチも効いて家族にも好評。今日もカツオを買いに走ります。

 「ニンジンのおろし」は、ニンジンをすりおろしたもの、薄切りにしたものをごま油で炒めて、塩、しょうゆで味を付けただけ。ニンジンの甘味が元気を運んできてくれます。

 豚ばら肉は、カレー味にしてみました。豚肉のビタミンB群は元気の源。豚肉とビタミンをもじって、ブタミンなんて言うそうですよ。

 「みどりの煮びたし」は、今回は菜の花で作りましたが、ホウレン草でも小松菜でも、なんでもいいのです。旬のお野菜を塩ゆでして、おいしい濃い目のだしに浸しただけ。今回は、コゴミや木の芽も加えてみました。

 箸やすめの一品はキュウリを使って。梅干し、刻んだ大葉とあえました。たれのまぜ方がポイントです。いつもより10回は多くかきまぜてみてください。味がまろやかになります。

 最後に、空豆とホタルイカの相性の良さに目を付けた炊き込みごはんを。年に1度のぜいたくごはんです。

 常々に思うのが、旬の食材を食べていたら間違いないということ。食材の、一番元気な時期だから旬なのです。季節の流れを知ることもでき、食卓で繰り返していくうちに、そのご家庭での食文化は育まれます。これこそが食育です。からだで覚えた感覚が、必ず次の世代へと伝わると信じて、料理してみるのもいいものですよね。(料理講座「幸せ運ぶフクチドリ」主宰)

ホームページ「料理研究家・小宮理実」(https://komiyarimi.com/)

【2020年5月17日朝刊掲載】


◆小宮理実 こみや・りみ 1971年京都市上京区室町生まれ。おせち料理・行事食研究家。家庭で作る季節の行事食を伝えており、食育活動のほか、商品開発も手掛ける。著書「福を呼ぶ京都 食と暮らし暦」「京のおばんざい四季の味」。