世界に先駆けたルール整備という。

 政府は、巨大IT企業が手掛けるインターネット広告の法規制に踏み出す方針だ。

 2月に施行した巨大ITへの規制新法の対象を拡大し、2022年度以降の適用を目指している。

 ネット広告市場でも、巨大ITの寡占化が進むにつれ、ひずみが目立っている。

 新法の規制枠組みを用い、取引の実態や個人データの取り扱いに関する情報開示を求め、透明化と公平性を確保する狙いだ。

 ただ、新法は事業者の取り組みに委ねる点もあり、強制力が弱い。いかに規制効果を上げるのか、世界各国のデジタル規制の試金石になるとみられる。

 米グーグルなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大ITは、ネット広告でも影響力が絶大だ。

 検索サービスや会員制交流サイト(SNS)を通じ、消費者の閲覧履歴や年齢、位置情報など膨大な情報を集め、個々に合った広告提供の手段を握っているからだ。

 システムが複雑で、取引内容が不透明でも広告主らは応じざるを得ず、一方的なルール変更や広告費の水増し問題に苦慮している。

 政府の新方針は、取引条件の情報開示を義務付けた規制新法の網をネット広告にもかぶせる。

 第三者による広告効果の測定を受け入れるといった体制整備や、虚偽請求の危険性に対する説明責任を求める。年1回、経済産業相に状況を報告し、評価を受ける仕組みも適用する。

 また、サイトの閲覧履歴を基に個人の関心に沿った広告を提供する「ターゲティング」でも、利用者が情報活用を拒否できる方法を適切に示すことを求めた。

 寡占的な巨大ITに対して消費者らの立場は弱く、公正取引委員会が今年2月、十分な説明のない情報活用は独禁法上の「優越的地位の乱用にあたる」とした見解も踏まえたものといえよう。

 ただ、政府は広告の価格などは「営業上の秘密」として一律開示は困難と認めるほか、公正な事業運営体制の整備、実行を事業者の自主性に委ねている。

 技術革新とのバランスに配慮して日本が罰則に慎重な一方、米国のテキサス州などは反トラスト法違反でグーグルを提訴するなど、各国で対応が模索されている。

 巨大ITの圧倒的に強い立場の乱用を防ぎ、公正で安心なネット社会の発展につなげられるか、新規制の実効性が試されよう。