バイデン米政権が発足して100日がたった。

 新型コロナウイルス対策を抜本的に強化し、温暖化対策の枠組み「パリ協定」への復帰や「気候変動サミット」の開催など国際協調路線にかじを切った。

 「米国第一主義」を掲げたトランプ政権時代から大きく転換した姿勢を米国民や国際社会に強く印象づけたといえる。

 バイデン氏が就任100日に合わせて上下両院合同会議で行った施政方針演説では、雇用拡大と格差是正に向け、中間層の底上げを強調。外交面では中国への対抗姿勢を鮮明にした。

 国内の経済政策では、インフラ投資など4兆ドル(約430兆円)規模の成長戦略を打ち出した。

 巨額の財政出動による「大きな政府」への傾斜を強めることで国内の「分断」の解消を図り、トランプ氏支持が多かった労働者のほか、民主党内左派にも気を配ったと言えよう。

 ただ、財源は富裕層への増税を充てる方針で、勢力が拮抗(きっこう)している野党共和党との間で新たな火種となる恐れもある。

 「唯一の競争相手」とする対中国の強硬姿勢では、バイデン氏もトランプ氏と酷似する。

 習近平国家主席を「専制主義者」と名指しし、インド太平洋で強固な軍事力を維持するとけん制した。「不公平な貿易慣行や知的財産、技術の搾取に立ち向かう」とし、安全保障や経済など幅広い分野で対抗する決意を表明した。

 ただ、バイデン氏は日本を含む同盟・友好国との協調を重視する。米国を中心とした覇権維持の覚悟を明確にしたといえそうだ。

 外交ではほかに、長年続いたアフガニスタン駐留米軍の完全撤退やイラン核開発、北朝鮮問題などの懸案を抱える。着実な成果につなげられるか注目される。

 就任100日時点の米世論調査で、バイデン氏の支持率は57%だった。トランプ前大統領の41%を上回ったが、オバマ元大統領の65%には及ばなかった。

 AP通信によると、100日以内に実行するとしていた61の公約のうち、完全に守られたのは4割の25項目で、33項目は部分的に実行され、3項目は手つかずの状態だという。

 「ハネムーン期間」と呼ばれる100日間を過ぎると、政権に対する有権者の目は厳しくなる。来年の中間選挙をにらみ、野党とのせめぎ合いも強まろう。バイデン氏の真価が問われる。