所有者が不明な土地問題を解消するための民法や不動産登記法の改正法などが、今国会で成立した。

 土地や建物の相続で3年以内の登記を義務化し、怠れば行政罰の過料を科すなどとした。

 都市部への人口流出に伴い、親の死後に子らが相続登記をしない土地が増えている。

 全国の所有者不明土地は、2016年時点で九州より広い約410万ヘクタールと推計されている。

 所有者が分からないため土地の買収や活用が進まず、東日本大震災後の復旧事業をはじめ、各地の公共事業や再開発の大きな妨げになっている。

 40年には約720万ヘクタールと北海道の面積に迫る恐れがあるとされ、見過ごせない問題だ。

 法務省と国土交通省を中心に対策に乗り出し、相続登記を義務付ける今回の法改正を「総仕上げ」と位置づけている。

 所有者の事情はさまざまだ。登記義務にとどまらず、幅広い環境整備によって不明土地をなくしていく必要がある。

 改正法は、不動産の相続を知って3年以内の所有権移転登記と、名義人の住所や氏名が変わってから2年以内の変更登記を義務化した。正当な理由なく怠れば、それぞれ10万円以下と5万円以下の過料が科される。

 これまでは相続しても使う予定がなく、売却も見込めないなどの理由で未登記のままの土地が放置されてきた。

 時がたち、何代か経ると所有者をたどるのが極めて困難になる。相続から一定期間内の登記を求めることで、新たな所有者不明の土地を増やさない対策の柱といえる。

 併せて、相続人の誰か1人が法務局に戸籍などを示して申し出れば、登記義務を果たしたと見なす制度も導入する。

 登記手続きの煩雑さや費用負担なども敬遠される理由とされており、簡単に手続きできるように見直すのは重要だろう。

 相続した土地の所有権を手放しやすくする制度も盛り込まれた。更地で担保に入っておらず、土壌汚染もない-などの要件を満たし、法相が承認すれば国の財産として帰属させられる。

 ただし、適用には10年分の管理費用相当分を国に納める必要がある。管理不全の土地を丸投げされるのを警戒してだが、費用を支払ってまで手放す人がどれだけいるだろうか。使いにくい制度では意味がない。

 一連の対策が目指すのは、所有者が不明となって使われない土地を、有効に活用できるようにすることだ。

 新たな発生を予防する対策と並行し、既に大きく広がっている所有者不明土地を利用しやすくする施策も欠かせない。

 政府は18年6月成立の特別措置法で、公共的な事業であれば、自治体などが不明土地を10年間使える仕組みにした。

 今回の法改正は民間を含めた利用促進を掲げ、裁判所の判断で所有者が不明の土地の売却や活用ができるようにした。

 全国的に増え続け、防災や防犯面でも懸念されている空き家対策とも併せ、実態に即したきめ細かな施策展開が求められよう。