マグロを逃がす定置網漁

マグロを逃がす定置網漁

のれん網の直前で方向転換するクロマグロ=京都府海洋センター提供

のれん網の直前で方向転換するクロマグロ=京都府海洋センター提供

 資源量減少のため国際的に漁獲が規制されている太平洋クロマグロについて、定置網からマグロだけを逃がし、他の魚は捕ることができる特殊な網を京都府海洋センター(京都府宮津市)などが4月までに開発した。資源管理をしながら操業ができると期待される。

 太平洋クロマグロの資源量(親魚)は1961年に15・6万トンあったが、2010年に1万トンまで減少した。資源保護のため国際的に漁獲枠が設定され、日本の枠は20年に大型と小型を合わせて1万397・6トン。

 マグロは日本海も回遊し、府にも69・6トンが割り当てられている。漁獲枠を守るために定置網に入ったマグロを逃がすと、他の魚も逃げるため漁に支障が出ていた。

 そこで同センターは18年から、伊根浦漁業(伊根町)と漁網会社の日東製網(東京都)と共同で網を開発。定置網の内部に縦40メートル、横45メートルの「のれん網」を垂らし、これを揚げると上層を泳いで網を避ける習性のマグロだけが囲い込める。ブリは網の横や下の隙間から、イワシ類は網目を通過して定置網本体に入り漁獲でき、マグロは網の外に放流する仕組みだ。

 伊根町で行われた19年度の実験はマグロ放流率85%を確保しつつ、他魚種の90%を漁獲できた。20年度は、大型サワラも取れるよう網目を約18センチに大きくしたが、網に引っかかったマグロは7匹だった。同センターは「漁獲枠を超えた場合も、1時間ほどで設置でき、他の魚を取り続けるのに活用できる」と話す。のれん網は日東製網が受注生産する。