コロナワクチンの接種前に、超音波検査で腕の皮下脂肪の厚さを調べる宇治徳洲会病院の職員(3月8日、宇治市・同病院)

コロナワクチンの接種前に、超音波検査で腕の皮下脂肪の厚さを調べる宇治徳洲会病院の職員(3月8日、宇治市・同病院)

 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、1瓶で7回分接種できる注射器の使用を提唱している宇治徳洲会病院(京都府宇治市)が、医療従事者への優先接種に際して計測した皮下脂肪の厚さのデータをまとめた。接種を受けた約1200人のうち、約8割が皮膚から筋肉までの厚みが10ミリ以下だった。優先接種にも用いたインスリン用の注射針(12.7ミリ)を伴えば、大半の人が1瓶で7回分接種できる注射器で対応できたという。

 国が現在、自治体に支給している注射器は先端部に液体が残るため、1瓶で5回分しか取れない。1瓶6回分取れる特殊な注射器は供給が十分に進んでいない。このため、宇治徳洲会病院は3月、接種人数を増やすため先端部に液体が残りにくいインスリン用注射器を使用し、1瓶7回分接種できることを公表した。

 ただ、同病院が用いた注射針は長さ12・7ミリで、国が支給した注射針(25ミリ)より短い。接種時に針が筋肉までしっかり届くかどうかを確かめるため、超音波(エコー)検査で皮下脂肪の厚さを計測していた。

 同病院によると、12・7ミリの針が確実に筋肉まで届くには皮下脂肪の厚さが10ミリ以下の必要がある。この条件に当てはまった人の割合は、同病院で3月に優先接種を受けた医療従事者1242人の79%に達した。男女別では男性が91%、皮下脂肪が男性よりも厚い傾向がある女性では73%だったという。欧米人と比べ、皮下脂肪が薄いとされる日本人の特徴が数値でも浮かび上がった。

 一方、別の発見もあった。皮膚から上腕骨までの距離も計測したところ、25ミリ以下の人の割合が40%に上った。国が支給している注射針を根元まで刺すと、骨に当たる人が4割いることになる。骨に当たったままワクチンを注入すると効果が薄れる恐れがあることは厚生労働省も認めている。同病院は「骨に当たったら少し抜いて打つ必要がある」と医療関係者に注意を促している。

 同病院では医療従事者への優先接種において、国の支給分に加え、インスリン用の注射器も組み合わせて進めた。結果、1回目の接種用として配分された195瓶のうち13瓶が余り、当初の予定人数よりも4割多く接種することができたという。末吉敦院長は「ワクチンの供給が限られる中、多くの人に接種するため知恵を絞る必要がある」と話す。

 京都府内では伊根町が同病院の手法を参考に、針と筒が一体で薬剤が残りにくい注射器(針の長さ13ミリ)を使い、1瓶7回の接種を実現している。国も府も、現場の工夫でワクチンを有効活用することを認めている。