若葉が輝く季節になった。今年も新型コロナウイルスの感染拡大で、ステイホームが求められている。

 そんな中、昨年来、屋外でのキャンプやハイキングが人気という。3密を避けた上で、森や川など自然と触れ合える魅力を再認識した人も多いだろう。

 きょうは「みどりの日」。多くの恵みをもたらし、癒やしを与えてくれる自然だが、昨年から今年にかけ、山林火災が相次いでいるのが気になる。

 栃木県足利市では、今年2月~3月の23日間にわたる火災で、約167ヘクタールが焼失した。群馬県桐生市では2月、約30ヘクタールが焼けた。南丹市や大津市など京滋でも発生している。

 世界でも森林火災は多発している。オーストラリアでは、一昨年9月ごろから約半年続いた火災で、日本の国土面積の半分相当の森が失われた。米国カリフォルニア州では昨年9月時点で、焼失面積が東京都の約4・6倍にあたる1万平方キロに達したという。

 環境保護団体の世界自然保護基金(WWF)などによると、森林や草原などでの火災の約75%は、人間に責任があるとしている。農業地の開拓や耕作、ごみの焼却などで引き起こされているという。

 森林は、二酸化炭素の貴重な吸収源である。火災を含めた森林破壊が地球温暖化を招き、高温や乾燥化などの異常気象が、火災の多発を助長していると指摘されている。

 それらがもたらす深刻な影響は、すでに世界各地に及んでいる。さらに近年は、新型コロナウイルスなどの感染症との関係も指摘されている。森林が減少すると、ウイルスを運ぶ野生生物がすみかを追われる。人との接触が増え、動物由来感染症の頻発などの大きな要因にもなりうるためだ。

 コロナ禍に世界中が見舞われている今こそ、改めて自然とのつきあい方を真剣に問い直す時だろう。

 「ワンヘルス」という考え方が注目されている。単に人や家畜、野生動物の生存というだけでなく、あらゆる生物が生きる環境も健全な状態、つまり生態系全体の「健康」が不可欠であることを意味する。

 人も動物も環境もすべてつながっているという考え方だが、多くの国では、人や家畜などの担当は行政部局が異なり、十分連携できない可能性もある。個別ではなく一体的な対策が必要で、発想の転換が求められる。

 昨年9月に、国連の生物多様性サミットを機に発表された文書「自然に関するリーダーの誓約」にも、ワンヘルスの考え方を政策決定の中に位置づけることが盛り込まれた。70を超える国の首脳らが署名している。

 世界各国が協調し、環境と生態系の保全に向けた意志を示し、実効性ある対策を早急に進める必要がある。

 私たち一人一人も、これまでの暮らし方、働き方を振り返り、本当に必要なものを見つめ直さなくてはならない。改めて生産や消費の在り方を点検し、持続的な「健康」につながるか意識したい。