省力化が進むとはいえ、苦労は「米一粒汗一粒」と例えられる。田起こしに始まり、代かきから田植え、さらに夏場は草取りや水の管理、害虫に手を焼き、台風なども心配しながら稲穂が垂れる秋を待つ▼稲作農家にとって昨今、増収を見込める銘柄米の競争が激烈だ。長らく続いた国によるコメの生産調整(減反)が昨年廃止され、付加価値を高める自助努力が求められているからだ▼日本穀物検定協会の2018年産米食味ランキングで、京都・丹波産「キヌヒカリ」をはじめ55銘柄が5段階で最上級の「特A」と評価された。3年連続で「特A」だった滋賀産「みずかがみ」は一つ格下げとなった▼生き残りをかけ全国各地で新品種が続々と開発され、銘柄米は300を超すという。産地間競争が厳しいが、昨秋のデビューと同時に「特A」を獲得した銘柄も山形・村山産「雪若丸」など三つあり、品質の底上げは著しい。味の競争はコメの魅力の再発見につながろう▼でも「特A」を28年連続で保った高級米の新潟・魚沼産「コシヒカリ」は17年産米で格を落とした。油断は禁物と奮起し、今回は返り咲いたものの陥落の衝撃は大きかった▼うまいコメを育てるには、まさに「米一粒汗一粒」の心掛けが欠かせない。味わう側もひと粒さえ粗末にできない。