<京の知恵 しあわせの食 小宮理実>

 こんにちは。料理研究家の小宮理実です。7月に入り、蒸し暑くなりました。私が暮らす地域には、農家の方が軽トラに乗って野菜を売りにきてくれます。このような販売を「振り売り」といいます。その昔は天秤(てんびん)棒、そしてリヤカーになり、現在は軽トラ。なくならないでほしい昔ながらの良き時間です。おかげでいつも採れたての野菜が手に入るので、ありがたいです。野菜に顔を近づけるとそのみずみずしいハリと香りに、私の細胞も喜んでいるかのよう。鮮度の良さに勝るものなしです。

 この時期の食卓は「ぶらさがりもん野菜」が主役です。「ぶらさがりもん」とは、枝にぶらさがりできる野菜のこと。トマトにナス、ピーマンにシシトウなど。今回ご紹介するのは、緑のぶらさがりもん野菜のお料理です。

 「万願寺とうがらしと鶏団子のあんかけ」は、万願寺とうがらし(万願寺甘とう)をグリルで焼いて、ふわふわの鶏団子と一緒にあんをかけていただきます。冷やしていただくのもお勧めです。「ピーマンの焼きびたし」は、おだしに少し酢を落としています。この少しのお酢を加えることを、「かくし酢」と呼んでいます。お酢には疲労回復の効果もありますので、ことに夏は意識して使うようにしています。「しらすとピーマンの炒め丼」を作るときは、しらすを流水で洗い、ザルにあげてしっかりと水切りをします。油で炒めて味を付けたピーマンと一緒にごはんにのせ、白ごまを振っています。しらすとピーマンは、栄養面からも好相性な組み合わせ。お昼ごはんにいかがでしょう。

 「ズッキーニのピカタ」は、輪切りにしたズッキーニに溶き卵をつけては焼いてを繰り返し、ケチャップとマスタードを添えてみました。お弁当のおかずにも最適です。「青瓜(あおうり)と塩昆布の即席漬け」は、青瓜のタネも一緒にいただきます。野菜のタネに栄養があることを知ってからは、食べられそうなものは取らずに調理しています。「オクラと山芋のあえもの」は、どちらも塩ゆでをするのがポイント。山芋も、角切りにしてからさっとゆでることで、新しい食感が生まれます。こちらも酢を落として仕上げています。

 夏場は体力勝負です。自然の恵み、緑の野菜を口にして、栄養補給。明日への生きるエネルギーを養いましょう。(料理講座「幸せ運ぶフクチドリ」主宰)

【2020年7月5日朝刊掲載】

ホームページ「料理研究家・小宮理実」(https://komiyarimi.com/)


◆小宮理実 こみや・りみ 1971年京都市上京区室町生まれ。おせち料理・行事食研究家。家庭で作る季節の行事食を伝えており、食育活動のほか、商品開発も手掛ける。著書「福を呼ぶ京都 食と暮らし暦」「京のおばんざい四季の味」。