改憲手続きを定める国民投票法の改正案について、自民党と立憲民主党が今国会の会期中に成立させることで合意した。きのう衆院憲法審査会で可決され、11日にも衆院を通過する見通しだ。

 立憲民主党が求めていた政党スポットCM規制に関する修正案を自民党が全面的に受け入れた。

 CMの在り方は2007年の同法案成立時からの懸案だが、今回も深い議論は先送りされた。課題を残したまま、改憲手続きが進んでいくのは危ういと言わざるを得ない。

 改正案は、駅や商業施設でも投票できる「共通投票所」の導入や、期日前投票時間の弾力化などが主な内容だ。

 そこに、立民の要求に基づき、CMやインターネット広告、運動資金の規制について「検討を加え、施行後3年をめどに法制上の措置、その他の措置を講じる」の一文を付則に加えた。

 立民はこれまで、CM規制を法案に盛り込むよう求めてきた。「改正案と同時に決着するのが本来の在り方だ」と主張し、採決に応じない考えだったはずだ。

 今国会で「何らかの結論を得る」との申し合わせが自民との間にあったとはいえ、付則に盛り込んだだけであっさり成立に合意したのは理解に苦しむ。

 一方自民は、公明など4党で18年に改正案を提出したが、立民などの慎重姿勢もあり、8国会にわたり継続審議となっていた。今国会で成立しない場合、衆院解散に伴って廃案となる公算が大きく、会期中の成立を目指して立民の要求を「丸のみ」した形だ。

 改正手続きが、政党間の都合で決められた感がぬぐえない。

 CMを巡っては、資金力のある団体が一方的に世論を誘導し、投票結果に影響を及ぼしかねないとの懸念がある。インターネットにあふれる真偽不明の広告や情報の扱いも詳細な検討が必要だ。

 深い議論が求められるが、付則に盛り込んだだけでは、どこまで掘り下げられるか保証はない。

 一定の投票率がなければ成立しない最低投票率の導入も、投票の正当性には不可欠だ。

 昨秋以降の衆院憲法審では、自民議員などから憲法改正の具体的な論点に触れる発言も目立っている。改憲議論の実績づくりのようにも見える。

 国民投票法の議論で積み残した課題の検討をなおざりにしてはならない。国会で真摯(しんし)な議論を続けてほしい。