日本を含む先進7カ国(G7)外相会合は、6月の首脳会議(サミット)の方向性を決める重要な議論の場である。

 今週、共同声明を発表し、覇権主義的な姿勢を続ける中国を、強くけん制した。

 東・南シナ海における「緊張を高める一方的行動」に反対し、経済政策を「専制的かつ威圧的」だと批判した。新疆ウイグル自治区での人権侵害や、香港の民主派排除も危惧した。

 声明に対して中国は、内政問題への乱暴な干渉だ、などと反発している。しかし現状を見渡せば、これらの指摘を否定し切るのは難しいだろう。

 民主主義を掲げ、人権や自由の重視などの価値観を共有するG7の声明としては、妥当な内容となったのではないか。

 緊張が高まりつつある台湾海峡について、「平和と安定の重要性を強調し、平和的解決を促す」とし、世界保健機関(WHO)総会への台湾参加を支持した。

 G7が、共同声明で台湾問題に言及するのは、確認できる範囲では初めてとされる。

 中国の圧力に、歯止めをかける狙いだ。強権的な姿勢を改めさせる契機としてもらいたい。

 他には、北朝鮮に、核兵器、弾道ミサイル計画の廃棄と、拉致問題の即時解決を求めた。ミャンマー国軍のクーデターを非難し、ロシアによるウクライナの不安定化などに懸念を示した。

 これらの議論を主導したのは、米国だったという。

 バイデン政権発足後、初の外相会合となり、民主主義や人権を重視する「価値観外交」を主張して各国をまとめた。

 思い起こせば、昨年のサミットでは、議長国だった米国のトランプ前大統領が、G7の枠組みを軽視し、参加国の不興を買った。

 G7の場において、米国が「自国第一」の立場から、国際協調を重視する方向に回帰したのは、歓迎できる。

 今回は、インドや韓国、オーストラリアなどの関係者がゲストとして参加した。G7に、これらが加わり、民主主義10カ国(D10)として連携する構想もある。

 ただ、価値観を共有するだけでは、事態は好転しないだろう。

 経済力を背景に、中国は各地で影響を強めている。D10にも、足並みの乱れが生じるかもしれない。今後は、中国に頼ること以外の選択肢を、国際社会に明示できるかどうかが問われよう。