政府は、新型コロナウイルス対策で京都など関西3府県と東京都に発令中の緊急事態宣言について、11日までの期限を5月末まで延長することを決めた。

 3度目となる今回の宣言は、大型連休中の短期集中策として講じられた。だが、感染者数は高止まりし、医療体制は逼迫(ひっぱく)したままだ。解除する状況にないのは明白だ。

 延長する以上、確実に事態を改善させられるよう施策を強めるべきだ。政府は、科学的な根拠に基づき、延長の理由や解除までの見通しを明確に示す必要がある。

 きのうの記者会見で菅義偉首相は、宣言下で「人の流れの抑制は達成できた」などと述べたが、実態は大きく異なる。

 民間企業の調査によると、連休中の4都府県の主要駅や繁華街の人出は、1年前の宣言時と比べると、京都で最大8割増となるなど軒並み増えた。感染者も全国で増加傾向にあり、重症者は過去最多を更新している。

 宣言対象地域には、新たに愛知、福岡両県の追加が決まった。7県に適用されている「まん延防止等重点措置」も宮城県が解除されるが、北海道、岐阜、三重の3道県が加えられる。

 感染力が強いとされる変異株は急速に広がっている。

 だが、政府は宣言下でも大規模イベントの原則無観客を取りやめ、大型商業施設への要請を休業から時短営業に変更するなど、一部規制を緩和する方針を示した。

 宣言を延長するのに規制を緩めるなら、代わりにどのような手だてで感染を減らすのかを示さねばならない。それがないままでは、感染対策が不要になりつつあるとの誤ったメッセージに受け取られかねない。

 京都府などは、大型商業施設への休業要請を一部緩和するが、これまでの対策を基本的に継続する方向という。地域の実情を踏まえた対応を進めてもらいたい。

 大阪を中心に宣言地域の医療体制は危機的な状況が続いている。

 確保した重症病床がすべて埋まり、受け入れられない患者が中等症以下の病床で治療を受ける事態が起きている。十分な治療を受けられず待機中に自宅などで亡くなるケースも相次いでいる。そのような状況を食い止める具体策は待ったなしだ。

 政府や各自治体は、民間病院の協力も得て病床の確保に努めるとともに、宣言延長への国民の理解と協力を得る姿勢をこれまで以上に強く打ち出すべきだ。