今年ほど、夏の到来とともに「ああ、しんど」と、ため息まじりにつぶやいてきたことはなかった。阿波の徳島で生まれた私は、故郷でも格別明るい空の輝く5月15日という爽やかな日に生まれている。5歳年長の姉がひとりいたので、家具職人の父は、自分の仕事をつぐ男の子を欲しがっていたのだという。

 名前も「晴美」と早々とつけていたとか。「晴美」という名は、当時は、男の子につける名前であったという。そう言えば、岡本かの子の愛人のひとり新田亀三に、かの子がつけた愛称が「晴美」であった。

 「あなたのような美男子に、亀三なんて名付ける親は、何というセンスの悪い人でしょう」

と、かの子が文句をつけて、与えたのが、「晴美」であった。以来、亀三さんは