市街地上空を低空飛行する米軍機が東京の都心部や首都圏をはじめ、全国各地で問題となっている。

 京都市でも3月22日午前11時10分ごろ、南区と西京区の上空で、米軍の輸送機オスプレイとみられる機体が1機、目撃された。

 東京西部の米軍横田基地の周辺道路からは、オスプレイが低空で飛び立つ様子を目の当たりにする。

 航空法は、住宅密集地ではその地域の最も高い建物から300メートル以上、人家のない地域では150メートル以上の高度で飛ぶよう定めている。

 だが、目撃された米軍機の多くは規定を下回るような高度で飛んでいる。

 なぜ米軍機は日本の法律に従わずに飛べるのか。

 日米安全保障条約の運用を規定した日米地位協定に伴う特例法が背景にある。

 特例法は航空法の規定から米軍機を適用除外する内容だ。最低高度だけでなく、離着陸する場所や飛行禁止区域、制限速度、航路などの航空当局への届け出義務なども米軍機には適用されない。

 航空機の安全な運航について定めた章全体が適用除外になっている。

 米軍機は安全規定の縛りを受けずに、自由に日本の空を飛べるということだ。

 実際、危険な事態は度々起きている。

 日本航空の元機長の山口宏弥さん(64)は沖縄県の那覇空港からの離陸時、米軍輸送機と異常接近した経験がある。

 管制塔の指示に従い上昇し雲を抜けると降下する米軍機が迫っていた。米軍機の存在は知らされていなかったという。

 山口さんは「空中衝突寸前だったが米軍に問題なしという結論だった。米軍優先で安全が二の次という実態は今も変わらない」と指摘する。

 四国や中国地方などの山間部では高度150メートル程度まで急降下する米軍機が目撃され、騒音などが問題になっている。

 日弁連は2014年にまとめた日米地位協定に関する意見書で、日本の空は米軍に委ねられ主権が損なわれている、と指摘。米軍にも日本の法律を適用するよう提言した。

 米軍基地があるドイツやイタリアでは、現地の法律が優先適用されているという。

 しかし日本政府に改善を求める動きはない。

 菅義偉首相は国会で「安全面に最大限配慮が必要」と述べるにとどまっている。なぜ踏み込まないのか。

 問題の根幹にある日米地位協定に触れるのを避けたいからではないか。

 地位協定は航空法だけでなく、米軍基地や兵士、軍属らに日本の法律が及ばない裏付けとなっている。過去一度も改正されたことがない。

 重い協定なのは理解できる。だが、米軍のわが物顔の振る舞いが繰り返されれば、日米安保に対する国民の信頼が大きく揺らぎかねない。

 日米両政府は事態をもっと深刻に捉えるべきだ。