往年の洋楽ファンならエリック・クラプトンさんが歌った「コカイン」を思い出す人もいるだろう。もとはJ・J・ケイルさんという米国の渋い歌手が作った曲だ▼コカイン賛歌のように思われがちだが「大地にぶっ倒れてしまいたいならコカイン」「後戻りはできない」ともある。クラプトンさんは薬物中毒に大変苦しんだことでも知られる。自戒を込めて歌ったようだ▼人気テクノバンド「電気グルーヴ」のピエール瀧容疑者なら、そんなことは先刻承知だったろうに。コカインを摂取した疑いで逮捕されたニュースに衝撃が走った▼NHK大河ドラマにも出演中で、作品の取り扱いなど関係者は対応に追われている。何度も繰り返される芸能界などの薬物汚染。あれもこれも後戻りできないことだらけになる▼電気グルーヴは30周年のツアー中だったという。ヒット曲「シャングリラ」を楽しみにしていた人も多いだろう。英作家ジェームズ・ヒルトンが小説に書き、理想郷を意味するようになったシャングリラ。これを題名にした曲はたくさんある▼まさか理想郷や桃源郷に行けると思ったわけでもなかろうに。「昭和顔」の存在感で近年はドラマや映画に引っ張りだこだったが、薬物に身を滅ぼす恐ろしさも昭和の頃から変わらない。大きすぎる代償だ。