人工知能によるいじめ事案の解析結果を解説する有識者(大津市役所)

人工知能によるいじめ事案の解析結果を解説する有識者(大津市役所)

 大津市教育委員会は28日、市立小中学校で把握されたいじめ疑い事案を人工知能(AI)で分析する実証実験の中間報告を発表した。加害者への初期指導が重要な一方、会員制交流サイト(SNS)を通したいじめは、迅速に対応をしても深刻化する可能性が高いとした。

 市教委いじめ問題等教育課題アドバイザーの桶谷守氏ら有識者4人が実験結果を解説した。分析したのは2017、18年度のいじめ疑い事案計5212件で、「欠席日数が3日以上」「収束までの期間が4カ月以上」などの深刻化事案(9・6%)も含んでいる。
 その結果、加害者への初期指導がなく、被害者が学校を欠席したり適切なケアを受けられなかったりする場合には、高い確率で深刻化することが分かった。また、初期指導を行っても、SNSに悪口を書き込まれるなどのいじめでは、約8割が深刻化する傾向が浮かび上がった。
 同市では13年度以降、学校がいじめ疑い事案を把握した場合、発覚の経緯、いじめの態様、被害者の状況などの報告書を24時間以内に作成している。これを個人情報を除いてデータ化し、AIによる分析でいじめの深刻化のパターンを予測するシステムを構築しようと、本年度から市教委が民間企業と取り組んでいる。
 日渡円教育長は、他の自治体にも今後参加してもらい、データを増やして「分析の精度を高めたい」としている。
 大津市教委は21年度からシステムを本格活用し、各小中学校のパソコンに教員がいじめ事案の報告を入力すれば、深刻化の可能性が分かるようにする方針。