仕事中に新型コロナウイルスに感染したことによる労災補償の認定が5千件を超えた。

 医療や介護の現場で働く人が全体の約8割を占めている。申請件数も全体で1万件に上り、今年に入って急増している。

 各自治体の保健師らの過酷な労働実態が明らかになっている。

 患者の治療や感染防止対策など、コロナ対応の最前線に立つ労働者を守る取り組みの拡大が求められる。

 厚生労働省によると、労災認定は、医療従事者が約4200件で死亡者も5人いた。申請は右肩上がりで増加が続き、今年3月は約2800件に達した。

 感染リスクが高い医療現場の安全対策は不可欠だ。全国480万人の医療従事者のうち、1回でもワクチン接種を受けた人の割合は6割にとどまっている。希望者への実施を急がねばならない。

 患者の健康観察や入院先の手配、疫学調査などを担う保健所職員の負担は大きい。相次ぐ検査の手配や病床逼迫(ひっぱく)による調整の難航で、現場からは「徹夜もある」「休みが取れない」などの声が上がっている。

 京都市では、2020年度の残業が千時間を超えた保健所職員が19人もいた。1500時間以上も9人に上った。感染が再拡大した冬の「第3波」以降、随時増員しているが、感染拡大に追いつかない状況のようだ。

 他の自治体でも、月80~100時間の過労死ラインを超える残業をこなす職員の存在が指摘されている。脳内出血や心筋梗塞、うつ病の発症など心身の健康への影響が憂慮される。

 一部の職員に負担が集中しないよう、業務内容を精査した上で、仕事の分担や人員配置を工夫してほしい。

 多くの子どもが通う学校でも、教員の疲弊が懸念されている。

 校内の消毒作業や検温の実施、3密を回避するための行事計画の練り直しなどで勤務時間が増えている。インターネット調査では、多くの教員が、児童生徒と対話する時間が減ることで、いじめの増加や学力格差の拡大につながる恐れがあると答えている。

 コロナ禍で対応に追われた人たちは、使命感や周囲への配慮から、悩みを一人で抱え込んでしまう傾向もみられるという。

 政府や自治体は、現場の頑張りに甘えるばかりでなく、要員や待遇の改善、相談体制の拡充などで支えることが急務だ。