僧と絵師、高め合う

 京都画壇が輝きを放った18世紀を中心に、相国寺と絵師たちの交流から生まれた作品を展観する企画展「若冲と近世絵画」が12日、京都市上京区の相国寺承天閣美術館で開幕する。

「釈迦三尊像」 伊藤若冲筆 3幅 絹本著色 江戸時代 明和2(1765)年 相国寺蔵

 伊藤若冲と相国寺のゆかりは深い。3幅からなる「釈迦(しゃか)三尊像」は、代表作「動植綵(さい)絵」とともに同寺に寄贈された。うち「普賢」「文殊」は今も法要で使われている。同寺の僧、梅荘顕常(ばいそうけんじょう)(大典禅師)との交流は有名だ。「若冲寿蔵銘拓本」の銘文は大典によるもので、若冲の画業を知る基本資料といえる。

重要文化財「七難七福図巻 天災巻」 円山応挙筆 3巻のうち 紙本著色 江戸時代 明和5(1768)年 相国寺蔵=巻き替えあり

 京都の町の大半が焼けた天明の大火(1788年)で、相国寺も建物の多くを失った。「梅図・牡丹(ぼたん)図座屏(ざびょう)」は、復興に尽力した大典の弟子維明周奎(いめいしゅうけい)と絵師原在中(ざいちゅう)による作品。周奎は若冲に絵を学んだ。

重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」伊藤若冲筆 菊鶏図襖絵 50面のうち 紙本墨画 江戸時代 宝暦9(1759)年 鹿苑寺蔵

 金閣寺と銀閣寺の障壁画も見どころだ。若冲が描いた「鹿苑寺大書院障壁画」(重要文化財)は、50面すべてそろう。与謝蕪村による「慈照寺方丈障壁画」の一部も出品される。

「慈照寺境内図」 維明周奎賛 池大雅筆 1幅 紙本淡彩 江戸時代 慈照寺蔵=Ⅰ期のみ展示

 同館の本多潤子学芸員は「僧と絵師の交流からたくさんの傑作が生まれ、それが今も法要を荘厳するものとして使われたり、多くの人にめでられたりしている。それぞれの画風や成立の過程も楽しんでほしい」と話している。

「相国寺方丈杉戸絵」 原在中筆 鳳凰図 36面のうち 板地著色 江戸時代 相国寺蔵

 同展は4月29日に始まる予定だったが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、開幕が延期された。



【会期】Ⅰ期 5月12日(水)~7月25日(日)▽Ⅱ期 8月1日(日)~10月24日(日)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
【会場】相国寺承天館美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入ル)
【主催】相国寺承天館美術館、日本経済新聞社、京都新聞
【入場料】一般800円、65歳以上と大学生600円、中高生300円、小学生200円
【問い合わせ】相国寺承天館美術館075(241)0423

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため入場制限を行ったり、予定が変更されたりする場合がある。緊急事態宣言発令中は、京都府外在住者は入館しないよう呼び掛けている。