中京署に移送される山本淳子容疑者

中京署に移送される山本淳子容疑者

大久保愉一容疑者(クリニックHPから)

大久保愉一容疑者(クリニックHPから)

山本直樹被告(フェイスブックから)

山本直樹被告(フェイスブックから)

殺害事件の構図

殺害事件の構図

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の嘱託殺人事件で起訴された医師らが、2011年に父親を殺害したとして、京都府警に12日逮捕された。遺体は司法解剖されず、明確な死因が特定されなかったとみられる。「遺体なき殺人事件」は立証が難しく、無罪判決や不起訴になった事件もある。10年という時の壁も立ちはだかる中、府警は慎重に捜査を進める。

 「捜査上の秘密で言えない」。12日夜、3容疑者の逮捕を発表した府警捜査1課の幹部は硬い表情で繰り返した。殺害の場所や方法、動機、捜査の経緯などについて報道陣から質問が相次いだが、その大半を明らかにせず、「古い事件のため、慎重に捜査をしている」と述べるにとどめた。

 捜査関係者によると、山本直樹容疑者(43)の父親=当時(77)=の遺体は司法解剖されなかった。当時は事件性が疑われず、捜査対象にならなかったという。父親は精神疾患で長野県内の病院に入院していたが、病状は安定していたとされる。ALS患者が安楽死を希望していたとされる嘱託殺人事件とは、様相が異なる可能性がある。

 過去の遺体なき殺人事件では、状況証拠の積み重ねから有罪判決に至ったケースがある一方、物証や供述が乏しく、無罪や不起訴となった例もある。

 2002年に京都府宇治市の男性が行方不明になった事件では、発見された血痕や微量の人骨などをもとに約1年後、府警が強盗殺人容疑で男を逮捕した。男が否認し、明確な物証や目撃証言もない中、捜査当局は男の車の移動経路など状況証拠を積み重ねた。京都地裁が06年に無期懲役判決を言い渡し、最高裁で確定した。

 一方、14年に発覚した京都府向日市などの青酸連続不審死事件では、捜査当局が男性8人を殺害したとして、被告の女=死刑判決、上告中=を逮捕、追送検したが、司法解剖されなかったケースが多く、殺人罪などで起訴されたのは4人だった。

 捜査関係者によると、山本容疑者の父親が死亡した前後に、逮捕された3人が殺害をほのめかすメールが残っていたとされる。山本容疑者らが父親を殺害したとすればなぜなのか、10年前の事件で関係者の記憶が薄れる中、京都府警は動機の解明に向けて本格捜査を始める。