菅義偉首相肝いりのデジタル庁設置を柱とするデジタル改革関連6法案がきのう、成立した。

 同庁をデジタル化改革の司令塔と位置づけ、行政手続きのオンライン化などを進めるという。

 国会提出からわずか3カ月でのスピード成立である。

 関連法は同庁設置を含む5本の新法案と個人情報保護法などの改正案約60本を束ね、一括で審議された。多岐にわたる論点をしっかりと議論できたかは疑問だ。

 個人情報保護の在り方などを中心に多くの課題が生煮えのままとなっている。法が適切に運用されるか、監視していく必要がある。

 懸念の一つは、デジタル庁の性格だ。首相をトップにデジタル担当相を置き、各府省に業務見直しを求める強い権限を持たせる。行政のデジタル化に関しては省庁を支配下に置く異例の機関となる。

 個人情報を含む国や自治体の広範な情報を集中管理し、職員約500人のうちエンジニアら約120人は民間から採用するという。

 国会では、民間からの登用について、特定企業に都合のよいルールづくりがなされる可能性があると指摘された。しかし政府は、透明性確保の具体策は今後、有識者を含めた検討に委ねるとした。

 強力な権限へのチェック機能の構築は置き去りにされたままだ。

 法成立により、民間企業による個人情報の不正利用を監視していた既存の第三者機関「個人情報保護委員会」は、新たに国の機関や自治体も監視対象とする。

 保護委は企業への立ち入り検査などの権限を持っている。だが今回、国の機関に対する関与は指導・勧告にとどめられた。これでは監視の役割を十分に果たせまい。

 保護委の事務局は約140人規模で、拡大した業務をこなすには小規模すぎるのではないか。体制の拡充が不可欠だ。

 各自治体が先行して定めた個人情報保護条例には統一的なルールが導入される。首長らからは独自の措置が縛られるなどの声が上がっていたが、政府は「法律の範囲内で必要な独自措置を講じることは可能」との見解を示したにすぎない。自治体が設けた住民情報の保護策は尊重されるべきだ。

 デジタル関連法は情報の収集や利活用に重点が置かれ、プライバシー保護への視点を欠いたままのように見える。監視社会につながるとの懸念は解消されていない。

 政府には法の慎重な運用を求めたい。積み残した課題についてもさらに議論を進めねばならない。