西洋風の外観を残す「欧風料理 精養軒」(宮津市島崎)

西洋風の外観を残す「欧風料理 精養軒」(宮津市島崎)

名物のタンシチュー

名物のタンシチュー

 古い町並みに西洋風の外観が目を引く。京都府宮津市の「欧風料理 精養軒」。中に入ると、クラシックの流れる昔ながらのレストランの雰囲気が、どこか懐かしい。シチューにコロッケ、ハンバーグ。いくつになっても、洋食は“ごちそう”だ。宮津に店を構えて80年以上。伝統の味や盛り付けを守り継ぎ、老舗洋食店として地域に愛されている。

 大正時代に日本料理店として開店した。港町宮津を訪れる外国船の水夫たちに喜んでもらおうと、カツレツなどを出し始めたことがきっかけで、2代目の時代から洋食専門店となった。

 4代目の吉田浩之さん(53)がシェフとして腕を振るう。「どこかで食べた味にはしたくない」と、料理のベースとなるデミグラスソースやマヨネーズは既製品を使わず、時間をかけて手作りする。

 名物は、15時間かけて煮込むタンシチュー。口に入れると、ほろほろと崩れるような柔らかさが自慢だ。サラダやスパゲティと一緒にワンプレートに乗せるのは、祖父の教え。おしゃれさよりも、昔ながらの洋食店らしい、親しみやすい盛り付けを意識する。

 「昔の職人は何も教えてくれなかった」と吉田さん。中学生で厨房に立ち、祖父や父の手元を見て学んだ。27歳の時、夢を追いかけて故郷を離れ、大阪府寝屋川市に弁当店を開いた。せっかちな大阪の客に鍛えられ、「味を落とさず早く提供するためにどうしたらいいか。頭を使うことを学んだ」。宮津に戻り店を継いだ今も、当時の経験が生きている。注文後すぐに運ばれてくる温かい料理に、「職人」の誇りを見た。

 欧風料理 精養軒 宮津市島崎1021―1。木曜定休。午前11時~午後2時と午後4時~午後7時(時短要請解除後は午後9時まで)。0772(22)2426