施設収容中になぜ亡くなったのか、解明するのが先決だろう。

 名古屋出入国在留管理局の収容施設で3月、スリランカ人の女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した。

 衆院法務委員会では入管難民法改正案の採決を巡り、与野党がせめぎ合っているが、収容中のウィシュマさんが死亡するに至った問題を避けて議論するわけにはいかないはずだ。

 改正案は入管当局の権限を実質強化しており、収容の在り方そのものが問われるからだ。

 ウィシュマさんは母国スリランカの大学を卒業後、2017年に来日し日本語学校に通ったが、学費が払えなくなって留学生の在留資格を失った。不法滞在で昨年8月から入管施設に収容されていたが、今年に入り体調が悪化し、腹痛や嘔吐(おうと)などの症状が見られた。

 外部の病院で内視鏡検査を受け、別の医師からは「仮放免すれば良くなることが期待できる」と報告されていた。

 上川陽子法相が調査を指示したのは当然だ。しかし、1カ月後に出された中間報告に、仮放免の記載はなく、入管側が医師への診察依頼書で詐病の疑いがあるとしていたことも触れられていない。

 十分な調査とは到底いえない。そもそも調査チームは、入管当局の幹部を責任者とし、検察官の資格を持つ職員や入管に関係する人ら約10人で構成されており、いわば身内による調査だ。

 入管施設で死亡した収容者は07年以降、確認されているだけで16人に上る。19年にナイジェリア人がハンガーストライキ中に死亡、14年にも体調不良を訴えていたスリランカ人が亡くなっている。

 施設内に拘束する以上は、生命を守る責任がある。死亡事案が繰り返される事態は見過ごせない。

 ウィシュマさんの死亡について、内部調査で済ますのではなく、独立した第三者委員会による調査が必要ではないか。再発防止のために、死亡原因や収容経緯の徹底究明だけでなく、医療体制や仮放免による入通院の在り方などにも目を向けるべきだ。

 改正案は長期収容の解消をうたい、難民の申請制限や一時的な社会生活を認める仕組みを新設するが、いずれも入管当局の判断次第という面が強い。

 入管行政や収容施設は外部から見えにくい。裁判所の令状なしの拘束は、海外からも問題視されており、改正案にもまして議論すべきではないか。