これでは弥縫(びほう)策にすぎない。

 多様な経歴や知識を持つ法曹(裁判官、検察官、弁護士)の育成を理念に掲げてきた法科大学院への進学志願者減が深刻だ。

 政府は最短5年間で法学部入学から法科大学院修了に至る「法曹コース」の導入など、法曹養成制度を見直す改正法案を今国会に提出した。しかし、法科大学院の救済どころか、逆に形骸化を招きかねず、法曹養成の根本的な立て直しには程遠いと言えよう。

 法曹コースの新設に加え、法科大学院の学長が一定の成績を収めていると認めれば、在学中に司法試験を受験できるようにするのが制度見直しの柱である。

 法曹資格の取得には、大学の法学部に進んでも法科大学院修了までに6年、司法修習を経て最短で8年弱を要する。これを大幅に短縮することで、時間的、経済的な負担を軽減して、優秀な学生を確保し、法科大学院離れに歯止めをかけるのが狙いだ。

 修了すれば司法試験の受験資格を得られる法科大学院は2004年以降、74校が開校した。ところが、司法試験の合格率は振るわず人気が低迷、当初7万人を超えた志願者数は昨年約8千人にまで落ち込み、地方を中心に39校が廃止や学生募集停止を決めている。

 法科大学院の不振は政策の迷走が要因とも言える。政府は当初、司法試験の合格者数を年3千人程度への大幅増を掲げたものの遠く届かず13年に撤回し、開設を競った大学側ははしごを外された。とりわけ法科大学院を経ずに司法試験に挑める「予備試験」が11年に導入されたのが拍車をかけた。

 本来、経済的事情などで法科大学院に通えない人の「例外」措置だったが、優秀な学生が法曹界への「近道」として予備試験へ流れた。何のための例外なのか。まずは受験資格の制限など予備試験の見直しこそが先決である。

 法科大学院の再生は喫緊の課題とはいえ、これでは司法試験に向けた予備校化さえも危惧せざるを得ない。なぜ法科大学院離れが止まらないのか、法律業務の需要に法曹人口は見合っているか、司法試験の在り方は適正か―といった議論を置き去りにしていては、何ら打開策を見いだせないだろう。

 そもそも司法改革が目指していた法律業務の需要拡大のもくろみが外れ、弁護士の過剰や都市部偏在などを招いた。法科大学院の理念に立ち返って、法曹界が抱える諸課題も含め、一歩踏み込んだ国会論議を期待したい。