戦闘がエスカレートするのを止めなければならない。

 イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザへの武力攻撃を拡大している。10日に空爆を始めてから死者は100人を超えた。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマスもロケット弾発射で対抗し、イスラエル側にも死者が出ている。

 この状況は、2014年の大規模戦闘によりガザで2千人以上、イスラエル側で約70人が犠牲になって以降、最悪の被害である。

 今回もイスラエルは地上部隊を投入し、ガザへの砲撃を始めた。本格的な地上侵攻に踏み切れば、犠牲者が大きく膨らむ惨劇を招きかねない。

 自制を強く求めたい。

 事態収束に向け、イスラエルの後ろ盾の米国をはじめ、国際社会が結束して双方に報復の連鎖を断つよう働き掛けていかねばならない。

 今回の発端は、双方の聖地エルサレムを巡る対立だ。居住区から立ち退きを求められたパレスチナ人とイスラエル警察の衝突から、ロケット弾攻撃と空爆の応酬に拡大した。

 双方が強硬な姿勢で引かないのは、国内外の情勢が絡んでいる。

 大きな要因がバイデン米政権による中東政策の転換だ。イスラエルが敵視するイランに対し、トランプ前政権が取った包囲戦略から、核合意の再建に向けた協調路線にかじを切った。

 イスラエルにとって最大の擁護者が去り、取り残される危機感に加え、国内の政治混乱への不満をそらす思惑が見え隠れする。

 一方のパレスチナ側も、トランプ外交で進んだアラブ諸国とイスラエルの国交正常化による孤立に不安を抱く。自治政府の主流派ファタハが分裂して求心力を失う中、ハマスが勢力拡大を狙ったとの指摘もある。

 戦闘拡大を防ぐため国連安全保障理事会は2度の緊急会合で声明発表を模索したが、イスラエル擁護の立場から米国が反対し、一致した対応を取れずにいる。

 内外から批判を受けたバイデン氏は中東各国との連携を模索し始めた。だが、外交の軸足を対中競争に移した中、取り組みの優先度は低いままだ。

 多数の死傷者と難民を生んできた大規模な紛争に発展させてはならない。パレスチナ和平に大きな責任を持つ米国はもとより、平和的解決に向けて国際社会があらゆる手を尽くすべきだ。