「日本語を話せないやつがなぜ主将なんだ?」。20年ほど前、ラグビーの社会人チームを率いていた向井昭吾さん(元日本代表監督)が主将に外国人選手を抜てきすると、他の選手から批判を浴びた▼外国人選手がリーダーを務めるのは珍しい時代で「代わりにおれがやる」と言う選手もいた。「ラグビーは共通言語。チームを鼓舞する時はプレーで見せればいい」と言って説き伏せたとシンポジウムで苦笑していた▼今では日本代表に多くの外国出身選手がいるのは当たり前の光景になった。国籍が条件になる五輪とは違い、出生国でなくても「両親、祖父母の1人が出生」「3年以上在住」をクリアすれば資格を得る▼強化のための「多国籍軍」という批判もあったが、前回のワールドカップで発信した五郎丸選手のツイッターが空気を変えた。「国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」。その通りだろう▼少子高齢化と人手不足のニュースがあふれ、外国人材なくして今の生活は成り立たない。多様性がキーワードに浮かぶこの国で、半年後にワールドカップが開かれる▼肌の色だけでなく、体格もばらばらな15人の個性を生かしトライを狙う日本代表。国籍を超えて肩を組み、気持ちを通じ合わせて闘う姿は未来へのヒントを提示している。