アルコール消毒などによる「手洗い」の効果を研究する廣瀬助教(京都市上京区・京都府立医科大)

アルコール消毒などによる「手洗い」の効果を研究する廣瀬助教(京都市上京区・京都府立医科大)

 コロナ禍が続くなか手洗いの徹底が強調され、街中ではさまざまな場所に消毒液が置かれている。ではその効果はどれほど明らかになっているのだろうか。皮膚にいる新型コロナウイルスへの各種消毒薬の有効性に関する論文を4月に発表するなど、「手洗いの専門家」として研究を重ねる京都府立医科大の廣瀬亮平助教(感染症学)に最新の知見を聞いた。

 -新型コロナの感染防止には手洗いが重要とされています。

 「新型コロナは主に、患者の呼気中に含まれた飛沫(ひまつ)を通してほかの人に感染するとみられています。しかし手指に付着したウイルスが口を通して体内に侵入する経路も有力と考えられ、それを防ぐには手洗いが重要です。新型コロナの皮膚の上での生存時間は9時間程度でインフルエンザの5倍になりますが、手洗いをすれば取り除けることに変わりはありません。インフルエンザでは30秒以上、流水で洗えばウイルスを含んだ粘液などを除去できることが分かっており、新型コロナも同様とみてよいでしょう」

 -30秒以上かけて手を洗うのは骨が折れますね。

 「手の一部分であれば短い時間洗うだけで済みますが、洗い残しのないことを考えると30秒は必要です。ただ私も病院で勤務している経験から、一つの作業を終えるたびに30秒以上手洗いするのが簡単ではないのはよく分かります。そのためにエタノール消毒などを併用します。ウイルスを死滅させる効果があるエタノール消毒は、付着したウイルス粒子を手から流し去る手洗いとは狙いが異なりますが、短い時間で消毒できるメリットがあります」

 -どの程度の時間で消毒できるのでしょうか。

 「私は最近、アルコールの一種であるエタノールなどの消毒効果を検証した論文を出しました。その結果、エタノールが5秒以上の反応で高い有効性を示しました。エタノール以外にも、日本でよく流通しているグルコン酸クロルヘキシジンと塩化ベンザルコニウムの2種類の効果を確かめましたが、いずれも5秒以上の反応で一定の効果がありました。とはいえエタノールに比べると効果は低いので、第1選択はエタノールでしょう」

 -消毒薬で水洗いの代用はできますか

 「消毒薬はいずれも、手指に汚れがある状態では効果は低下するとみられ、流水による手洗いの重要さは変わりません。流水による手洗いを心掛けつつ、こまめに消毒薬を活用するのが最も現実的かもしれません」