虐待など家庭の事情で親元で暮らせない子どもを、児童養護施設や里親家庭などで育む「社会的養護」を経験した若者を対象にした全国初の実態調査結果を厚生労働省が公表した。

 経済的に苦しい暮らしぶりが浮かび上がっている。

 こうした若者たちは、法律上、原則18歳までに自立することが求められている。

 だが、親元を頼ることができず、支援に切れ目が生じがちだ。継続して支える仕組みを強化する必要がある。

 調査は、2015年4月~20年3月に中学や高校卒業などで施設などを退所したり里親委託の措置を解除されたりした2万690人全員を対象に行われた。回答率は14%だった。

 回答者した2980人のうち、毎月の収支が黒字でなく、余裕がない状態の人が半数以上を占め、赤字は23%だった。

 過去1年間に医療機関を受診できなかったのは20%で、その理由として金銭的理由を挙げたのは7割近くに上った。

 「自立後」も、厳しい生活の人が少なくない。

 施設などを出た直後の進路は、就職・就労が54%で、進学・通学は36%だった。最終学歴は中学・高校が8割を占めた。

 一般的に大学・短大への進学率が5割を超える中、経済事情で高等教育を受ける機会を失っているのであれば、奨学金などの制度も拡充が必要だろう。

 見過ごしにできないのは、施設や里親などとのつながりが途切れていることだ。

 調査は、施設や里親などを通じて対象者に依頼されたが、45%は本人に届かなかった。その理由の6割が「住所・連絡先不明」だった。

 把握できなかった人たちは、さらに困難な状況に陥っている可能性がある。今後も継続的な調査が求められる。

 国は17年度から、最長で22歳の年度末まで施設で暮らせる仕組みを整えるなど、生活や就労、進学に対する相談や費用に対して支援策を広げてきた。

 だが、実施内容は自治体によってばらつきがある。

 関係機関と連携しながら支援計画を策定する「支援コーディネーター」は、児童相談所の設置主体である73自治体のうち、35%が配置していなかった。

 施設などを退所後に、公的相談支援機関などから、何もサポートを受けていないという人も2割いた。

 さまざまな支援も、当事者たちに届かなければ意味がない。地域によって受けられる支援に差が出ないよう、自治体は対策を強化してほしい。

 調査では「これから何に困るのか、何を相談したらいいのかも思いもつかなかった」という回答もあった。

 社会的養護を離れる前から、今後受けられる支援内容や相談先、同じ境遇の仲間との交流の場などを知らせておくことも大事だろう。

 生い立ちに関係なく、誰もが希望する教育を受けることができ、安定して暮らせる社会の実現につなげたい。